人材開発に関する最新情報をお届けいたします
(2017/05/29)
毎週更新


シェアリング・エコノミー等が雇用・労働市場に与えるインパクト―多様なプロフェッショナル人財による「デジタル+α」の価値創造で世界をリードする―
【公益社団法人 経済同友会】
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2017/pdf/170526a.pdf

経済同友会の提言。日本企業は、劇的に変化する経済社会環境に柔軟に対応し、各社がその強みを最大限発揮することで、持続的な成長を実現していかなければならない。そのためには、新産業革命への対応に加え、シェアリング・エコノミーといった新たな経済概念の本質を捉え、これを積極的に企業経営の中に取り込んでいくことが肝要である。本提言は、雇用・労働市場を切り口としたものであるが、これを実現する中で、日本企業が一層、変化への柔軟な対応力と、高い生産性を確保し、「デジタル+α」の価値創造を行っていくことが重要である。変化の激しい時代に、働き手が自らのキャリア・デザインに基づき、最適な就労形態と働き方を主体的に選び取っていくことは、ワーク・ライフ・マネジメントを実現する上で極めて重要になる。また、プロフェッショナル化が進む中で、スキルやリテラシーの向上を複線的に図っていくことにより、イノベーティブな価値創造につなげていくことが期待される。


「改正労働契約法への対応状況に関するインタビュー調査」結果
【JILPT 独立行政法人 労働政策研究・研修機構】
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2017/documents/195.pdf

労働政策研究・研修機構「資料シリーズ」より。今回のインタビュー調査では、無期転換ルールを巡り、特段の上限を示さずに更新を繰り返し、既に通算5年を超える有期契約労働者が、一定程度みられてきた(更新に対する合理的な期待が生じている恐れもある)現状を踏まえた当面の対応方針と、今後、新たに採用する有期契約労働者が増大していく中でのそれは、異なってくる可能性もあることが示唆された。そうした局面の変化を的確に捉えるためにも、その動向を継続的に把握していく必要があると思われる。有期・無期の契約労働者間の不合理な労働条件の相違を禁止するルールを巡っては、会社側から「1.職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)、2.当該職務の内容及び配置の変更の範囲、3.その他の事情を総合考慮すれば、不合理とまで認められるほどの相違はない(現状通りで問題ない)」といった見解が多く聴かれ、また、労組側からも「取り組みの更なる追い風になるほどの規定では無い(観念的、訓示的な規定と捉えている)」等の指摘が漏れた。


地方中堅・中小企業における外国人活用に関する調査
【経済産業省】
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000180.pdf

経済産業省の調査。非熟練の外国人労働力が我が国に流入すると、一時的な影響としては、労働の供給量が増えることで、需給バランスが変化し、賃金は低下すると考えられる。そして、不足していた労働力が提供されることで、生産は増加すると考えられるが、産業全体としては、非熟練の労働力が増加することによって、生産性は低下すると考えられる。しかし、上記の変化は、受入れ国の労働市場や経済の様々な側面に複合的な影響を与える。例えば、賃金が低下したことによって日本人の労働供給は減少する可能性がある。すなわち、他の地域や業種・職種に流出したり、あるいはより高学歴化を図ったりする、といった変化が生じ、結果として当該労働市場への日本人労働力が減少する可能性がある。そうなれば、労働需給は以前と同様の水準に戻り、賃金も生産量も元の水準に戻ることになる。一方、企業にとっては、賃金が低下すればコスト競争力が高まることになり、非熟練労働者の確保ができなければ縮小せざるを得なかった業務が、存続・拡大できることになる。その結果、企業にとって、その業務の重要性が高まり、機械設備等の労働力以外の生産資本を投じる必要性が高まる可能性がある。そうなれば労働需要が減少する可能性もあるが、逆にその業務から撤退・縮小したり他地域に移転したりすることなく、非熟練労働の労働需要が維持される可能性もある。


企業成長のエンジンとしての産学官連携?知的クラスター政策の評価
【REITI 独立行政法人 経済産業研究所】
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/17j037.pdf

経済産業研究所「ディスカッション・ペーパー」より。産学官連携がイノベーションの促進のために有効な手段として注目され、日本でもクラスター政策による地域の産学官連携支援が行われてきた。しかし、欧州のクラスター政策と比較しうる文部科学省のクラスター事業については、ミクロデータに基づく定量的な評価分析が行われていない。本稿は公的統計の個票データを用いてパネル固定効果分析を行い、クラスター事業に採択された大学・公的研究機関・企業の研究費や参加企業の成長・生産性などへの政策効果と、クラスター地域の製造業事業所へのスピルオーバー効果を定量的に検証する。分析の結果、クラスター事業への参加後に大学・公的研究機関・企業の内部使用研究費も、参加した大学・公的研究機関における研究費の外部支出と企業からの受け入れも、クラスター事業に参加していない大学などと比べて有意に増加したことが分かった。しかし、参加企業の経営成果には有意な効果が見られず、クラスター地域の製造業事業所の生産性への正の効果は小規模事業所に限られる。これらの結果は、クラスター事業によって産学官の共同研究は促進されたが、それが参加企業やその他の地域企業の成長や生産性上昇に十分に結びついていないことを示唆している。


ファミリービジネスサーベイ2016日本分析版「ファミリービジネス企業の永続的な発展のヒント」
【PwC Japanグループ】
http://www.pwc.com/jp/ja/japan-press-room/press-release/2017/family-business-survey170525.html

PwC Japanグループの調査。本レポートは、ファミリービジネスサーベイ2016の日本分析版として、日本とグローバルとの回答比較を行い、日本のファミリービジネス企業にとって重要と考えられている「直面する課題」、「国際化」、「事業承継」、「親族間の紛争解決の仕組み」および「デジタル化への対応」に関して取り上げ、分析・考察しています。今後5年間の主な課題として、日本とグローバルともに、「優位性を維持するためにイノベーションを続けること」を筆頭に、「適切な人材を採用し、維持する能力」、「自社が所属する業界の競争」がトップ3に挙げられています。承継計画の準備状況では、グローバルと日本ともに大きな開きは見られませんでした。「全ての上位役職者について計画がある」および「大半の上位役職者について計画がある」については、日本とグローバルはともに2割程度が「ある」と回答、また、「承継計画はない」との回答は日本とグローバルともに4割程度という結果になりました。一方、「具体的な承継計画を整備し、文書化、周知している」は、グローバルが15%、日本はわずか2%といった回答でした。


高齢化しても活力がある米国の労働市場〜トランプ政権が抱える危うさと真の課題〜
【三菱UFJリサーチ&コンサルティング 株式会社】
http://www.murc.jp/thinktank/economy/analysis/tenbou/tenbou_170523.pdf

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「経済レポート」より。米国では2000年代以降、雇用者数の伸びが弱まっているが、その背景には労働参加率が低下していることがある。主因は高齢化が進んだためであるが、各世代の参加率も低下傾向にある。特に働き盛りとされる25〜54歳男性では、産業構造の変化に上手く適応することが出来なかったために、参加率の低下に繋がったと考えられる。足元で労働市場がほぼ完全雇用の状態にあることや、高齢化の進行が雇用拡大の下押し圧力となっていることは日本と同じ状況である。しかし、米国では高齢化が進む中においても、労働力の中心となる生産年齢人口は移民の支えもあって増え続けており、それが労働市場の活力の源泉となっている。さらに、企業の姿勢は前向きであり、景気の改善に伴う雇用のタイト化が、賃金と物価を上昇させるという好循環に繋がっている。アメリカ人の雇用創出を目標に掲げるトランプ大統領は製造業の復活を目指しているが、製造業では雇用を削減することで生産性の上昇を図ってきた面があり、単に国内で雇用を用意することだけでは生産性を低下させ成長の下押し要因になってしまう懸念がある。重要なのは雇用を増やしながら生産性を高めることであり、そのためには地道に製品の付加価値を上げていくことが大切だろう。


〜掲載内容につきましては、ご自身の判断により対応願います。〜

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