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就職指導の現場から・2018秋
 今年も10月から学生向けの授業が始まった。
 目指す業界・職種、企業規模などで先々の展望はさまざまだが、確実に強い
追い風が吹く中での就活、学生に危機感はないように見える。

 今年は時間のあるときに、就職課の職員と一緒に学生との個人面談に立ち会
うようにしている。短い時間だが、就職への意識や志望先の検討状況、就活・
就職に向けての準備状況などを聞くのだ。そこで、様々な点で“二極分化”し
ているなあと感じる。

 現時点で何ら就活に関するアクションをしていない、学校で案内しているの
にリクナビやマイナビへのプレ登録すらしていない学生が多い中、少数ではあ
るが学外のインターンや業界研究セミナー、企業との出会いセミナーなどに積
極的に参加している意識高い系もいる。

 また、志望先の希望を聞くと、もちろん具体的な社名まで決まっていない学
生が多数派ではあるが、地元の中小企業の社名を口にする(申し訳ないが、そ
こは滑り止めでいいじゃないかと思うが、本人は職住近接で納得している)学
生もいれば、世界に冠たる大企業への入社を堂々と宣言する学生もいる。

 まあ、追い風の就職環境下、大半の企業は応募はウエルカムだが、それ以降
の選考は…となると、途端にバーが高くなる。そのための準備をしているか確
認すると、ほとんど何もしていないという。楽天的、楽観的を超えて、能(脳)
天気というしかない。職員、ゼミ教員、私三者で唖然とする。

 そういえば、某就職情報会社の調査によれば、環境への楽観視だけではない
が、企業へのエントリー数が前年に比して格段に減っているという。

 そして「意外に就活で苦戦した」という学生が6割に達するという。そこには、
「自分は大丈夫」と場に飛び出したものの、力・能力や準備・研究の不足で返
り討ちにあった多くの学生の姿が見える。
 世の中、そうは甘くない。


             (2018/11/05 人材開発メールニュース第997号掲載)


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