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全従業員活躍企業を目指す働き方改革
 今年の6月に働き方改革法が成立し、来年4月の施行に向け企業も対応が必要
になっています。法律的には様々な変更がありましたが、代表的なものとして
「労働時間法制の見直し」「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」の二つ
が挙げられます。

 同一労働同一賃金に代表される「公正な待遇の確保」に関しては、再来年の
施行、ガイドライン案もまだ国会を通過していないことも考えると、当面急い
で対応すべきは「労働時間法制の見直し」が中心になると考えられます。中で
も「労働時間を客観的に把握する」ことについては、全従業員に関してどんな
方法で労働時間を管理しているか再点検する必要があります。併せて価値観が
多様化する中で“労働時間”に関する認識や意味付けがメンバー間で相違がな
いか確認することも必要です。そもそも貴重な労働時間は「何をする時間なの
か?」…働き方改革を考える上で大事なテーマです。

 そういう意味では、働き方改革はこれまでの仕事の取り組み方を再点検する
ことでもあります。これまで当たり前のようにやってきた、社内外での慣行を
改めて見直し、これからの事業の方向性(市場や製品・商品・サービス)に併
せて組み直していくことでもあります。
 法令への対応は、定められた水準を遵守する(最低限クリアする)といった
消極的対応と、法令に水準に囚われず自社の経営課題・経営戦略として取り組
む積極的な対応があります。慢性的な労働力不足が予測される中で、今後は益
々積極的な対応が求められるのではないでしょうか。

 働き方改革は、元々「一億総活躍社会の実現」に向けて策定された政策の一
つです。一億総活躍社会とは、「若者も、高齢者も、女性も、男性も、障害の
ある方も、いちど失敗を経験した方も、一人ひとりが家庭や地域や職場で自分
の力を発揮し、生きがいをもてる社会」のことです。働き方改革は目的ではな
く、一億総活躍社会を実現するための手段の一つです。
 労働力不足の深刻化に対応するためには、企業(組織)においても、全ての
従業員の方々が、自分の力を発揮し生きがいをもてる「全従業員活躍企業(組
織)」を目指す必要があると言えます。


             (2018/09/03 人材開発メールニュース第988号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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