Back Number

就職指導の現場から・2018年夏(2)
 今、学生の就活は超短期決戦の様相を呈している。中には、サマーインター
ンシップやオファーサイト、OBOGサイトを活用して積極的に活動している学生
もいるが、私の教え子のように、期末試験の終わった2月からが本格スタート
の学生は、2月合同セミナー、業界研究セミナー、無数に開催されるワンデー
インターンシップに参加、あれよあれよという間に、3月に入ればWebテスト・
適性検査、エントリーシート、個別企業説明会に振り回される。

 基本、企業側のスタンスはウエルカムだから、難関大手以外の中堅以下の企
業は比較的ぬるい選考をしてくれる(もちろん、知的側面での足切りも待って
いるが)。そして、少し目につく学生には早々と内定が出る。早々と内定が出
る学生は自信もつくし、コツも覚えるので、複数の内定獲得に至る。2月本格
始動−4月中旬・下旬内定の実質就活期間は2ヶ月である。

 まあ、うらやましい限りである。一方で、その短期間で本当に自分のことが
わかって(自己分析)、職種・業界・企業研究をしての内定か、とても疑問に
感じる。

 今年の内定者に「どうしてここ選んだの」と聞くと、「成長分野だから」
「残業がないから」「働く環境がいいから」と、それなりの理由は出てくるが、
自分の強みや特徴を発揮して…といった、自分主体の言葉が出てこないのが、
気がかりであった。会社選択理由、意思決定理由が相手(企業)主体であるよ
うな気がしてならない。

 といっても、その懸念を証明するには時間が必要である。時代は大きく変わ
って比較にもならないが、あの狂乱のバブル採用・就職の渦中にいた自分には
心配が尽きない。


             (2018/08/27 人材開発メールニュース第987号掲載)


Go to Back Number Index
Go to Top Page