Back Number

新卒採用の現場から・2018夏
 “就活戦線、異常あり”と大げさに騒ぐこともないが、今年の学生の動きは
結構、特徴があった。

 もちろん、準大手や中堅企業の採用活動の活発化や内定だしの早さは想定内、
4−5月にそれなりの活動をしていた学生には複数の内定が降り注いでいた。企
業側は基本的にウエルカムだし、ちょっと良い学生を見れば取り合いになるの
も例年通りである。

 さて、異変は何かというと、まず「金融志望激減」である。
 入れる、入れないは別として、例年私の教え子の3−4割は、地銀(一部はメ
ガ)、信金、生保・損保を志望するのだが、今年は1月くらいの段階から「銀
行、銀行…」と言っている学生がいないなあと思っていたら、やはり志望者は
1割にも満たないくらい少なくなっているという。ゼロ金利政策も含めて金融
機関の先行きは暗い…そんな情報が飛び交い学生が敏感に反応しているのがわ
かる。4−5年前は安定感、安心感、ステータス、すべてでダントツ人気が今や、
外食や小売りと並んで不人気業界になってきた。

 反対に、今、人気急上昇は「ロボット(FA含む)」である。大学が位置する
東海地方には、この手の大手が多く存在していることも背景にあり、応募学生
が急増しているという。加えて、文系の大学であるにも関わらず、昨年度、一
社で7名、全体で30名近くがロボット、自動化、FA系のメーカーに内定をもら
い先のOB・OG就職報告会で、同業界で活躍する先輩が複数参加してアピールし
たものだから、人気爆発、現金なものである。

 とはいうものの、学生の選択にはエールを送りたい。
 人手不足や高齢社会を支えるにはロボットは今後、欠かせない存在であり、
ますますその用途は広がっていくであろう。文系の教え子たちがその研究開発
には携われることはないだろうが、営業として活躍できる場があるなら、それ
は大歓迎である。

 いい意味での“就活戦線の異状・異変”といえる。


             (2018/06/25 人材開発メールニュース第979号掲載)


Go to Back Number Index
Go to Top Page