地元ネタで恐縮だが、自宅から徒歩10秒のところにコンビニエンスストアが
建った。「建った」と書いたのは、店舗が建って1年2ヶ月が経つが、まだ開店
していないからである。駐車場には「オーナー募集」の看板が雨風に晒され、
何度かオーナー募集説明会の張り紙が出されたが、開店には至らない。

　そもそも「なぜ？」という立地である。確かに周囲にはマンションや戸建て
が立ち並ぶ住宅街であるが、車や人通りは決して多くなく、徒歩3分のところ
に食品も扱う大手ドラッグストア、そこから3分歩けば、昨年開店したばかり
の大型食品スーパーがあり、逆方向に5分歩けば元は酒屋の競合コンビニ店が
ある。買い物には困らない場所である（我が家も含めて周囲の家は、高齢者を
除けば皆、思っている）。あれば便利！程度の店ともいえる。
　そもそもオーナー（あるいは店長）も決めずに建ててしまうものなのかも疑
問である。

　そのコンビニチェーンはＲ社なのだが、今や小売業はアルバイトの採用さえ
大変な時代、無人店舗だ、無人レジだと省人化を目指しているが、まだまだ先
の話、やはり人手、労力頼みは否めない。

　そのＲ社、新卒対象に「新卒起業家育成制度」を始めた。新卒でその制度を
使い、一年間は契約社員として店舗運営ノウハウを座学と実習で学び（固定給
25万＋賞与支給、週休2日制)、起業時は加盟金100万円を免除、更にFC加盟奨励
金100万円を支給するという。そして、起業（自分の店としてコンビニを経営）、
将来は複数店舗の経営を目指すという制度である。

　「起業できる」「社長になれる」「雇われない人生」…そうした願望を利用
しながら、人手不足、オーナー不足を補う手としては、なかなか有効なのかも
しれない。たまたまニュースで、その説明会の模様が流れていたが、6−7人の
学生が参加していて、それなりに注目されているようだ。私の家のそばの店舗
の店長になるかな。


 　　　　　　　　　　　　（2018/05/14 人材開発メールニュース第973号掲載）