Back Number 平昌冬季五輪考・「総メダル数」? 二月下旬に開幕した平昌冬季五輪は、開幕直前の北朝鮮との南北融和のゴタ ゴタでどうなることかと思っていたが、意外に盛り上がった。 スピードスケートの高木姉妹や小平選手、ジャンプ高梨選手、早くも流行語 大賞候補にあがる「そだねー」のカーリング女子チームなど、大舞台でもはつ らつと実力を発揮した若い女子選手がまぶしかった。極めつけはパラリンピッ ク、アルペン種目村岡桃佳選手、5種目出場金1銀1銅3の大活躍、見事というし かなかった。男子でも、練習中の怪我で絶対だめだろうと思った羽生選手の金 メダル、私は彼があのとき、“神”になったとも感じた。 一方で、気になったのは、スポーツ報道やワイドショーを見るたびに繰り返 し叫ばれる「冬季五輪史上最多のメダル獲得」の言い方。確かに数だけ見れば、 今回の五輪は13個、長野五輪は10個で史上最多を記録している。 ただ、ある報道を見ていたら、長野の競技種目は68であるのに対して今五輪 は102と大幅に増えている。当たり前だが、当時はスノボー系やスピードスケ ートのパシュートもなかった。ちなみにその記事では、「総メダル数から見た 日本のメダル占有率」の比較があり、長野の占有率が4.90%であるのに対して 4.25%と、下回っているという。 個々の日本選手の活躍やここまでの道のりの数々のドラマとその険しさ、苦 しさ、成長…。すばらしく拍手を惜しまない。また、日本のメダル獲得数の国 別順位への言及する報道もほとんどない。ましてや、今回は強豪国ソビエトー ロシアが國として出場していない。 条件はあきらかに変わっているのだ。それを「総メダル数」という単一の評 価軸のみで「克てば官軍」になる。少々気になった。 (2018/04/23 人材開発メールニュース第971号掲載) Go to Back Number Index Go to Top Page |