Back Number 残業上限規制の導入検討を受けて いよいよ10月から現3年生の就職指導に入る。 ご存じのように大卒の求人倍率は1.78倍、昨年度は1.74倍で、ほぼ高値安定 している。入れる起業規模やブランドは別として、ほぼ大卒に関しては全入の 時代に突入しているといえる。 さて、政府は働き方改革の一環として、罰則付きの残業上限規制の導入を検 討している。実現すれば繁忙期を含め年720時間、月平均60時間が上限になる。 この規制が実現すると、大和総研の試算では残業代で最大年8兆5000億円減 少するという。先月のこのコラムでも書いたが、若手社員たちの所得に大きく 影響する(大きく減る)ことを裏付ける試算結果である。長時間労働は減るが、 それに伴って給与は減る…痛し痒しの状態である。加えて、残業時間の削減分 を新規雇用で穴埋めするには、240万人のフルタイム労働者を確保する必要が あるとされる。 厚生労働省が発表している毎月の有効求人倍率は1.52倍前後、正社員有効求 人倍率も1.01倍、まずは、雇用者で残業時間分のカバーはできない。AI技術や ロボットでの埋め合わせも限定的、これから東京五輪など大イベントを控えて の人手不足は加速すらされても軽減には向かわず、更なる人材獲得競争を煽る だけである。 新卒の就職環境の好転はうれしい限りだが、事はそれだけで収まらないから 問題である。 (2017/10/02 人材開発メールニュース第943号掲載) Go to Back Number Index Go to Top Page |