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研修の現場から・2017年夏…残業の抑制と夢実現の貯金
 7−8月に若手〜中堅社員の研修を担当してきた。共に製造業で、対象者の大
半は技術系の社員である。その研修カリキュラムに、論理的思考訓練と自身の
将来目標を描くことを組み合わせ、「私の夢・目標」をHowツリーで実現方法
を考える実習を加えている。

 掲げられる夢・目標は、若手・中堅だけあって「車を買う」「彼女を作る」
「海外旅行に行く」「家を建てる」「ダイエットをする」…といったもので、
この傾向は例年、大きな変化はない。

 ところが、ツリーに加える項目に今年はある変化が見られることに気がつい
た。夢・目標達成には当然、その原資となるお金を貯めることが必要だ。しか
し今年は「貯金」の項目の細分化が進まない。見出しレベルで止まってしまう
のだ。

 理由は何か。世の中の潮流に乗っているように働き方改革、残業の抑制=残
業代の大幅減少である。
 若い社員なら当然当てにする残業代が稼げないのである。定時に大半、帰れ
るようになる。そうそう、酒を飲みに行くこともできない。早く帰ってもやる
ことはあまりない。そこで帰り道、パチンコに寄る。出る時もあれば出ないと
きもある。通算すれば負けが多く、それが懐を寂しくする。悪循環に陥り、夢
実現の貯金ができない…。

 一方で、残業が少なくなっているのは、会社側が本気になって働く環境の改
善に取り組んでいる証左ともいえるので、悩ましい限りである。

 残業代に依存せず、パチンコ等の遊興にムダ使いしないように、夢・目標に
着実に近づいて欲しい。そう言ってはみたものの、やや空疎な励ましになって
しまったようである。


             (2017/09/18 人材開発メールニュース第941号掲載)


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