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新卒採用の現場から・2017年夏(1)
 先日、お手伝いしている大学の就職課にいた。打ち合わせ予定の職員は会議
中で、私はその会議を承知で、学生の様子でも見られるかと思って予定時間よ
り早めに就職課で新人の職員と情報交換をしていた。そこにアポ無しで企業の
採用担当者が就職課長を訪ねてきた。この担当者、県内地場の中堅クラスの食
品スーパーチェーンの人事課長で、県内でもそこそこの知名度のある会社だ。
私は、学内ガイダンスで二度程ご一緒したこともあり面識があった。そこで、
会議が終わるまで新人の職員とお話を聞くことにした。

 話の内容は当然、求人。学生の紹介である。今年は、採用予定の一割も内定
を出せていないという。そもそもエントリー数も昨年度の6割、説明会参加者
は半減、慌てて開催数を増やしたが、5月以降の開催は閑古鳥が鳴く状態だっ
たという。

 6月1日の現在の内定者数は5人(予定は10人)、6月に入って2人辞退者が出
て、残りの3人も危ないという。聞けば聞くほど、その悲惨さが手にとるよう
に見える。

 この企業は昨年も予定数に満たず、その挽回策として初任給UPや福利厚生の
充実などにも手を付けてきたとのことで、尚更、現状の“痛さ”が伝わる。

 更に深刻なことは、多少待遇を良くしたところで、全国チェーン、県内大手
には遠く及ばず、結果、現有戦力である既存社員−特に、将来の店長を嘱望さ
れる主任層・若手リーダー層が3月末に3人退社、現場自体が回らなくなりつつ
あるという。

 因みに、新卒の流通業における求人数は30万2千人、対して就職志望者は2万
6千人、求人倍率は11倍を超える。更に言えば、当校の未内定者の主立った者
に流通希望は少ない。丁度、会議が終わり課長が戻ってきたので失礼させても
らったが、事態は深刻である。


             (2017/07/03 人材開発メールニュース第931号掲載)


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