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とりかえしのつく場・機会をつくる
 早くも今年の新卒採用が過熱しています。しばらくは売手市場が続くと予測
される中で、採用の難易度が上がっています。今まで以上に採用だけでなく定
着化・戦力化をいかにするかが問われています。

 新人・若手を育成し、定着化・戦力化していくためには、早く自立した社員
として活躍できるかがポイントです。そのためには、業務を遂行する・役割を
遂行するための自信を持たせることが必要です。自信を持って業務に取り組む
ためには、いくつか方法があります。
 まずはスキル、ノウハウ、知識などを身に着ける必要があります。ステップ
アップとよく言われる通り、段階的に身に着けることが望まれます。育成する
環境が整っている企業(組織)は、遂行レベルを丁寧に分けていることがほと
んどです。例えば、「○○の業務ができる」というケースでも、「助言をもら
いながらできる」「一人でできる」「誰かに教えることができる」、分け方は
様々ですが、段階を設定しながら、一つ上のステージを目標として取り組んで
います。

 自信を持たせるもう一つの方法は、「とりかえしがつく失敗ができる場をつ
くる」と言うことです。何か課題を与えて、成功するかも失敗するかもしれな
い、そういう場をつくることが大切になっています。前述の、スキル・ノウハ
ウ・知識などを詰め込んで終わりではなく、実践する場が必要です。実践する
にあたっても、恐る恐る取り組むのではなく、自主的に・前向きに取り組んで
もらうためには、とりかえしのつく場をいかに準備できるかが重要です。

 OFF-JTの場でもそうですが、OJTの場においても新人・若手のために「とり
かえしのつく場・機会」をどう創出するかが重要になっています。重めの負荷
を加えて、痛い目に遭わせるということではく、成功することもあれば、失敗
することもある、微妙な匙加減と言った感じのハードルの設定が求められてい
ます。いずれの結果になってもふりかえることができるような場・機会を作れ
るかがポイントです。

 そういう場をつくるためには、会社全体・または部門(部署)、チーム全体
で、話し合い課題を設定することも必要になります。たくさんの方々が新人・
若手の方々のために意見を出し合うそのプロセスによって組織全体の育成力が
格段に向上します。
 「とりかえしのつく場・機会」を提供できる組織が、育成力が高い組織と言
えるのではないでしょうか。


             (2017/06/12 人材開発メールニュース第928号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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