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感情を編み直す
 人材開発・組織開発に関するお手伝いをする中で、改めて感じるのは「雰囲
気がいい組織は業績がいい」もしくは「業績がいい組織は雰囲気がいい」とい
うことです。どちらが先かはわかりませんが、「業績(パフォーマンス)」と
「雰囲気」は何らかの相関関係があるように思えます。勿論、短期的な視点で
見ると違う見方ができるのかもしれませんが、中長期的な視点で見ると相関が
あるように思われます。

 雰囲気がいいところをもう少し見てみると、個々人があまり無理をしていな
い、我慢していないという印象を受けます。チームであることも勿論大事にし
ながらもメンバー個々人が自らの意思や意見を抑えているわけではなく、比較
的自由に振舞っている感じです。雰囲気がいい=チーム優先というイメージも
ありますが、チームばかりを気にしていると個々が疲弊してしまうこともあり
ます。本当に雰囲気のよい組織は、チームと個人どちらかを優先しているとい
うよりも、チームを優先するタイミング、個人を優先するタイミング、状況に
応じて揺らいでいる印象を受けます。

 実際多くの現場では、個々の自由度が高まれば高まるほど、摩擦や葛藤が生
じます。雰囲気のいい組織では、摩擦や葛藤を減らすというよりも、摩擦や葛
藤から新たな価値が生み出される仕組みがあります。そういう表現をすると、
意見が活発に交換されている感じですが、むしろ対人での議論というよりも、
個人の内面の中で、感情が編み直されていることが多いようなイメージです。
対立する感情をすぐに表に出すのではなく、まずは自分の中で整理して、相手
の感情と一緒に編み直しているような作業が行われています。

 自分と周囲の感情を編み直すような人づくり、場づくりが今後ますます必要
になるのではないでしょうか。


             (2017/05/29 人材開発メールニュース第926号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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