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働きやすさや活躍しやすさを再定義する
 働き方改革という言葉が頻繁に使われていますが、女性活躍推進法に関わる
活動でお手伝いしていると「働きやすくなっているが、活躍しやすいレベルで
はない…」というコメントを聞くことがあります。
 これは、女性従業員の比率が高かったり、勤続年数は長いものの、女性の管
理職割合の低い企業でよく聞く言葉です。たくさん女性は働いているものの、
重要な役割を任される機会が少ない組織は、まだまだ多いと言えます。

 確かに数値的に見ると「働きやすさ」「活躍しやすさ」をそれぞれ従業員比
率や管理職比率で測るという方法もわからなくはありません。しかし、働く側
のニーズも多様化している状況では、尺度がそれだけでいいのかは、検討する
必要があります。もしかしたら、その尺度に当てはめ過ぎて考えていると返っ
て働きにくくなったり、活躍しにくくなることがあるのかもしれません。

 もちろん法令に準じる必要はありますが、そのまま使用する前に、改めて自
社(組織)での「働きやすさ」「活躍しやすさ」を検討する必要があるのでは
ないでしょうか。

 では、何をもって「働きやすさ」「活躍しやすさ」を考えるのかと言われる
と、明確な答えを持っているわけではありませんが、一つはどれだけ多様な働
き方をしている従業員を保有しているかという点が挙げられます。
 多様な働き方を準備できる企業(組織)は、それだけ従業員の多様なニーズ
に応えていると考えられます。さらに言えば、その多様な働き方を誰が作って
いるかを考えた時に、働き方に関してどれだけ従業員が参画しているかも重要
な視点です。

 働き方の基盤は、経営側が準備することが多いと思われますが、今後は働き
方を企画する段階から従業員が参画することも増えるのではないでしょうか。
経営や人事が働き方を提案、決定するだけでなく、多様なニーズを持った従業
員が自らの働き方を提案、決定するなど、自分たちの働き方を自分たちで創造
できることが、「働きやすく、活躍しやすい」企業(組織)だと言えます。

 いずれにしても、「働きやすさ」「活躍しやすさ」について自分たちなりの
意味付けをすることが必要ではないでしょうか。世間一般的な?基準だけでな
く、自社独自の基準や思想・哲学を持つ…その意味付けの仕方が、人事や経営
における競争優位性につながると考えられます。


             (2017/02/13 人材開発メールニュース第912号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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