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矛盾をはらんだ時間短縮への途
 今年の1月4日、年末の休みと仕事始めも重なって役所(相模原市南区役所)の
一階、各種届出のフロアはごった返していた。

 私は住民票を取得するために16時20分くらいにそのフロアに到着した。本来
なら自宅近くの連絡所で住民票が取得できるのだが、トラブルでホストPCにつ
ながらず、復旧のメドも立たないので、わざわざ区役所まできた。もう17時の
役所終了までにこの大勢の人を捌けるのかと思うほどの人数である。

 職員の大半は忙しく動き回っているが、同じことを繰り返して時間を無駄に
している職員もいるうえ、他者の多忙さを余所にスマホをいじくっている職員
もいる。暇そうだなあ、と思わず、睨んでしまう。
 そんな中、17時45分、フロアにアナウンスが流れた。「本日はノー残業デイ
です。そろそろ退庁の支度をしてください」…それを聞いていた処理や手続き
を待っている多くの人たちが時計に目をやり「・・・」怪訝な顔をしている。

 おいおい、わざわざアナウンスして、手続きを待つ人には「今日はノー残業
デイですから帰ってください」とでもいいたいのか、と思ってしまった。

 電通の長時間労働だけではないが、働き方改革の一環として労働時間の短縮
が巷間叫ばれている。24時間営業を止める外食企業も出始め、週休3日を目指
す企業もある。今年2月にはスーパーフライディがある。

 もとより、労働時間短縮には大賛成、その風潮を止めるつもりはないが、そ
の前提は働き手一人ひとりの生産性の向上であろうし、やはり顧客(ここでは
納税者・市民)満足であろう。単純に「時間」でだけで考えるものではないと
思う。

 幸い、私の住民票は17時49分くらいに手にでき役所を後にした。その後、ど
うなったのかはしらないが、どう考えても17時は回ったと思う。
 多くの矛盾をはらんだ時間短縮への途であろう。


             (2017/02/06 人材開発メールニュース第911号掲載)


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