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ナナメのコミュニケーション
 組織風土の現状を確認する際に、一つの目安としてコミュニケーションの量
を調査することがあります。簡単なもので言えば、コミュニケーションマップ
と呼ばれるようなものを作成する方法があります。周囲とどれぐらいコミュニ
ケーションをとっているのか、簡単な図で示す方法です。コミュニケーション
が多いと思う相手には太い線を引き、逆に少ないと思う相手とは細い線で示す
と言った感じで、どのような線があってどのような太さかを確認します。

 単純にどこのコミュニケーションが多いか、少ないかを見ることも大切です
が、双方の認識の違いがコミュニケーション上の課題としては大きいと言えま
す。例えば、同じチームにAさんとBさんがいて、AさんはBさんとのコミュ
ニケーションは多いと認識している一方で、BさんはAさんのコミュニケーシ
ョンは少ないと認識しているようなケースです。それぞれ自己申告なので、客
観的にどう判断するかは、冷静に分析することも必要ですが、相違が何に起因
しているのかを丁寧に分析すると、それぞれがコミュニケーションにおいて何
を重視しているのかが見えてきます。量の問題を追っていくうちに質の問題に
も辿り着くようなイメージです。

 同様にこれは組織間にも当てはまります。Aという部署とBという部署、そ
れぞれのコミュニケーションをお互いにどう認識しているか、色々なことが見
えてきます。それぞれの組織には様々なメンバーがいますので、トップ間の認
識やメンバー間の認識、クロスした認識など…、前述の通り、量の問題を追っ
ていく間に、多面的な課題が見えてきます。

 組織としての変化のスピードが速いところは、ナナメのコミュニケーション
が発達している組織が多い印象を受けます。上司−部下と言った縦、職場内・
同僚と言った横だけでなく、縦と横が交差したナナメの関係でどのようなコミ
ュニケーションが存在しているか…縦・横のコミュニケーションは基盤として
当然大切ですが、縦・横を超えたナナメのコミュニケーションが存在するかに
よって、組織全体の動きにつながるかどうかが左右されます。ナナメのコミュ
ニケーションが少ない組織ほど、部分最適に陥る可能性が高いと言えます。

 組織内のメンバーが益々多様化する中で、どうコミュニケーションを創出し
ていくかは、人材開発・組織開発上での大きな課題であると共に組織に大きな
変革をもたらす可能性を秘めているのではないでしょうか。


             (2017/01/30 人材開発メールニュース第910号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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