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大手広告会社での事件を受けて(2)
 前回の続き(人材開発メールニュース903号)をさせて欲しい。
 今思えば、本当にハードワークの日々であった。ただ、それでも当時はまっ
たく苦にならなかった。それ以上に、楽しくて嬉しくてしょうがなかった。

 最初は先輩や上司から引き継いだクライアントばかりであったが、飛び込み
営業が好きだった私は暇が少しでもできると、新聞広告の企画をもって新規開
拓に勤しんだ。それが結構、開拓できた。

 加えて、クライアントが転職すると、声がかかって更にクライアントが増え
る。現場主義を掲げて現地販売事務所でも手伝う営業は珍しく重宝され、現場
レベルの提案をして、コンペは連戦連勝だった。だから、クライアントと仕事
がどんどん増える。売上もどんどん上がる。
 しかし、給料や賞与が上がるわけではない。4年目に一人で(もちろん広告
会社なので、企画調査、制作、媒体・SPなどの支援を受けたが)3億円売上げ
たが、同期は5千万、営業手当以外、報酬は一緒だった。

 それでも仕事は楽しかった。クライアントの役に立ち、信頼されて27歳の若
造に何千万円と宣伝広告費を任せてくれるのだ。結果がでてもでなくても、日
々の仕事が評価され仕事がもらえた。

 だが…体が悲鳴を上げた。ある朝、突然、ベッドから立てなくなった。這っ
て病院に行き診察を受けレントゲンを撮っても原因がわからない。それでも奮
起して仕事に向かい、マッサージ、カイロプラティクス、針、電気治療などに
通ってもよくならない。あるとき、針治療の先生から「仕事、やめたら。精神
的なものかもしれないよ」といわれ、「辞める」という選択肢が頭によぎった
瞬間、痛みがとれた。呪縛から解き放された。
 そして、その3日後に辞表を提出した…。

 年の瀬の忙しい折、四方山話におつきあいいただき恐縮です。
 良いお年をお迎えください。


             (2016/12/19 人材開発メールニュース第905号掲載)


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