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アクティブ・ラーニングの渦の中で
 ここ数年、教育現場で頻繁に取り上げられる話題として「アクティブ・ラー
ニング」があります。元々は、大学教育の現場で使われていたものが、小中高
の学校教育の現場においても、積極的に導入する動きが増えています。

 文部科学省の用語集には、アクティブラーニングについて以下のように記載
されています。「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の
能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学
修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含め
た汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等
が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グルー
プ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。」

 ざっくり言えば、アクティブ・ラーニングは「能動的学習」、受動的ではな
く、“能動的に学ぶ”ということです。
 その一方で少し誤解を与えていることがあります。「アクティブ」と言う言
葉は、行動的・活動的と言う意味でよく使われるので、「アクティブ・ラーニ
ングは、座学でなく動きながら学習することだ」「アクティブ・ラーニングは、
体験学習のことだ」と言われることも多いようです。もちろん方法論としては、
動きながら学習したり、体験学習があったりしますが、学び方の方法が能動的
ということではなく、学びが能動的がどうかが問われています。

 企業内研修でワークやアクティビティと呼ばれるものを実施する場面でも同
様ですが、「能動的・主体的」と言うとどうしても身体的な動きをイメージさ
れることが多いと言えます。話し合ったり、身体を動かしたり、作業をしたり
する、身体的な動きがあると「能動的・主体的だ」と言われるますが、本当に
そうでしょうか?
 勿論、身体の動きも大切ですが、本来能動的になることが求めらるのは、心
や頭(脳)、精神的な部分や思考的な部分だと言えます。

 身体的な動きがあればいいではなく、もっと内なる部分で能動的な状態にな
ったかどうかを丁寧に扱う必要があります。能動的な学びができているかどう
かは、心や頭(脳)が能動的に動いているかを注視する必要があります。
 能動的な学びを促進するアクティブ・ラーニングは、学校教育だけでなく、
あらゆる現場で必要になると考えられます。


             (2016/10/10 人材開発メールニュース第895号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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