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就職協定を考える
 世の中に「あってもなくてもよいもの」あるいは「あっても、何ら影響のな
いもの」といったら、その筆頭は就職協定(経団連の企業による学生採用活動
のルール)であろう。

 8月上旬に2017年(入社は18年)も、16年同様、説明会・エントリー解禁3月
1日、面接解禁6月1日と同じ方向性になることが新聞報道された。

 変更しない理由は、3年連続日程変更への批判回避、企業や就職情報会社が
説明会会場を1年前から予約するための配慮、そしてなんと言ってもどのよう
に変更しても、抜け駆け企業は出てくるし(経団連加盟企業を筆頭に)、最早、
ルールは有名無実であることを日経連自体が認めていることからであろう。そ
して、そのスケジュール決めには学生の都合や要望は盛り込まれない。
 そもそも、安倍総理の一声で始まったものであり、スタートから「学生は不
在」である。だから、抜本的な見直しの議論なしに決まっていく。

 そもそも5月末には6割近くの学生に内々定が出され、6月1日以降の面接も儀
式になっているような状態、インターンシップの前倒し・2月集中化業界セミ
ナーという名の説明会、面談、意見交換、意見交流、対話…という名の面接…
有名無実化して誰も守らないようなルールは本当に必要なのだろうか。「時期」
「日程」の議論以上に、協定そのものの必要性の議論をすべき時期に来ている
ように思う。

 「働き方改革」─安倍内閣の直近の重点施策である。であるならば入口であ
る「採用・就職改革」にも手を付けるべきではないだろうか。


             (2016/09/19 人材開発メールニュース第892号掲載)


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