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「働き方改革」−“正規雇用者”に迫られるこれからの働き方
 残暑お見舞い申し上げます。

 7月に財務省と厚生労働省が経済対策として盛り込む「働き方改革」が新聞
紙上に載った。
 主な項目は、多くの政党の参議院選挙の公約であった「同一労働同一賃金」
─具体策は非正規社員の給与水準を正規社員の8割に引き上げる、という。こ
れが同一賃金?「最低賃金20円アップに支援策」も、選挙の公約で各党が主張
していたものだ。
 となると、新たな施策?との突っ込みたくなる。加えて、「一部の業種に残
業時間の上限を導入」─ということは、上限一杯まで働かせる?なんて、更に
突っ込みを入れたくもなる。

 一方、「130万円の壁には補助金の拡充」。すべて税金で賄われるものなの
で、手放しで喜べるものではないが、対象者には良いことだ。そしてなんとい
っても「雇用保険料率の引き下げで、個人所得を増やす」は、なんとなく景気
の底上げにつながりそうー但し、どのくらいの料率になるのか、今後次第だが。

 そして、巧みに忍び込んでいるものがある。「解雇の金銭解決制度」の検討
の加速である。そう、またまた復活の動きである。もちろん、雇用の流動化を
加速させるためには相当の理由がないと解雇できない現行ルールは足かせにな
りかねないのもわかる。

 これからの国会審議の結果次第だが、昨今の労働・雇用政策は、非正規雇用
者にではなく、“正規雇用者”にこれからの働き方を迫っているように思えて
ならない。


             (2016/08/22 人材開発メールニュース第888号掲載)


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