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教育だけでなく、学習を考える

 最近何人かの経営者の方に、これから教育に力を入れたいと言う相談を続け
て受けることがありました。いずれも地元の中小企業で、少しずつ事業規模が
拡大しこれからさらに積極的に展開したいと考えているが、その一方で人材の
採用や育成の難しさも感じ始めているような雰囲気でした。

 そのようなケースで、よく以下のような質問を受けます。「どのような教育
をすればいいですか?」「どのように教育すればいいですか?」「どんな教育
がお薦めですか?」…残念ながら、そういった質問に対する明確な答えは持ち
合わせていません。しかし、共通してアドバイスすることは、教育を意識する
だけでなく学習を意識するということです。

 様々な分野で多様化が進む中で、教育に関するニーズも多様化しています。
その中で、必要なものを一つひとつ教えていく・与えていくだけでなく、ヒト
や組織が自ら必要なものを学んでいくことが必要です。「どう教育するのか」
を考えるだけでなく「どう学習するのか」、ヒトや組織がいかにして学習する
力や仕組みを持つかが問われています。

 教育は、本来学習を支援する目的で実施されるものであり、教育そのものが
目的ではないと言えます。しかし、経営や人事部門の立場から見ると、教育が
が主体になってしまい、どう教育するのか…という話題が中心になってしまい
ます。

 教育が悪いということではなく、教育は必要です。しかし、教育だけで完結
するものではなく、教育すれば終わりと言うものでもありません。教育とセッ
トで学習がどうなっているかを確認する必要があります。少なくとも、教育の
有無に関係なく、自社・自部門の代表的な学習行動はどんなものがあるのか、
把握しておくことは必要です。

 多様性が求められる環境において、今後は、教育熱心な組織ではなく、学習
熱心な組織作りが必要になるのではないでしょうか。


             (2016/04/11 人材開発メールニュース第871号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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