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過保護な上司が増えている?
 従業員の年齢構成や雇用形態が多様化する中で、当然人員構成や組織構成は
歪になり、その歪な組織を運営していくために人材育成をどう展開するかとい
う話題は尽きません。

 歪な組織が増える中でトップと現場をつなぐ、いわゆるミドルマネジメント
への期待は高まる一方です。プレイヤーとしてもマネジャーとしても期待され
るプレイングマネジャーの存在が注目されています。両方の役割を期待されな
がらも、なかなか育成に取り組めないなど、これまではどちらかと言うと時間
が確保できない、やり方がわからないという悩みが数多く挙がっていました。

 しかし最近、部下育成や後輩指導に関して、少し異なる話題を聞くことが増
えています。それは指導・育成に熱心に・前向きに取り組んでいるが、部下・
後輩が育たないというケースです。時間も割き、様々な方法で取り組んでいる
が、上手く機能していないと言う話題も増えています。
 その理由(背景)の一つとして、大切に育てようとするあまり、過保護にな
っているケースがあります。日頃から、絶えず部下や後輩の状況を見て、細か
く指導することは大切です。しかし度が過ぎると、もう少し取り組めば何とか
できる場面でも、管理者が飛んできてすぐにフォローやアドバイスを始める、
そのためいつまでたっても一人立ちできない…そんなケースも増えています。
 悪循環が起こっているところでは、部下・後輩が何か困ったことが起こると、
ほぼ作業を止めて、誰かからのフォローを待つのが常態化している(クセにな
っている)ところもあります。

 全く指導がないところもよりもいいのかもしれませんが、良かれと思って、
前向きに指導に取り組むほど、成長する機会を削っているのは勿体ない話です。
仲の良さが本当のチームワークの良さにつながっているのか?再考することも
必要です。
 当たり前のことではありますが、部下や後輩の状況に応じて、関わり方は変
える必要があります。いつも同じ方法が通用するわけでもありません。絶えず
何のためにやっているのか、目的を確認することが必要です。
 何のための育成なのか、シンプルですが、組織の根幹のテーマです。


             (2016/03/14 人材開発メールニュース第867号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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