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不安感で疲弊する評価?
 人材育成の場面において、評価することは重要なプロセスです。業績(結果)
評価、能力評価、態度・意欲・意識評価など、様々な評価がありますが、全て
プロセスなので、評価することで終了ではなく、評価することからスタートす
ることになります。

 しかし、評価に関する問題が発生しやすい組織、ネガティブなイメージを持
つ組織は、評価がプロセスではなく、評価が結果だと受け止められていること
がほとんどです。評価されることに関して、不安感を強く持つヒトが存在する
場合は、制度がどのように設計されていても、運用面では、まだ十分でないこ
との証だと言えます。
 勿論、完全に不安感が無くなるわけではありません。しかし、不安感と安心
感を比較した時に、不安な要素が高い、不安を感じる人の割合が多い場合は、
まだまだ改善の余地があると言えます。

 最近、多面的な評価を実施する組織が増えています。多面的な評価は、様々
な人から評価を受けるわけですが、対象が増えれば増えるほど、安心感がなけ
れば、評価にさらされることで疲弊する危険性もあります。
 多面的な評価を運用するためには、評価に協力いただく評価者へのきめ細か
い情報提供が必要です。特に注意すべき点は、組織外の人に協力を依頼する場
合です。外部の人との間に、評価に対する文化の違いがあることを理解するこ
とが必要です。評価項目の単語ひとつから意味やイメージが異なることもあり
ます。違いを理解した上での情報提供が求められますが、社内と同じ説明で済
ませているところも少なくありません。
 単に評価制度を動かすことが中心になると、評価のやり方だけの説明になり
がちです。評価することでヒトや組織に何をもたらせようとしているのか?本
来の目的の説明が必要です。

 評価には、必ず次の目標「何をどうすれば良いか」をセットで与えることが
必要です。評価されただけで終了…では、不安感が増幅することは言うまでも
ありません。
 何のための評価か?評価制度に限ったことではありませんが、制度が複雑に
なればなるほど、当初の目的に照らし合わせることが必要です。不安感が多い
評価は、組織やヒトに悪循環をもたらすことにもつながります。

 皆さんの周りの評価のイメージはいかがですか?


             (2016/02/29 人材開発メールニュース第865号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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