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人材開発ニーズの基本的な探り方
 先日、人材開発サービスを営業する若手社員の勉強会の講師を依頼されまし
た。同業ではありますが、その会社の経営陣の方とは旧知の仲で、「うちの若
手社員は自社の商品やサービスをPRすることに懸命で、顧客のニーズに合わせ
た説明ができていないようだ。経営と人材開発ニーズのつながりをわかりやす
く教えてくれないか。」と依頼を受けて、勉強会を実施することになりました。

 どこから人材開発ニーズを探るか、様々な方法がありますが、一番基本的な
方法は、経営戦略から考えることです。人材開発は戦略を推進するための組織
やヒトを作ることを目的としています。

 経営戦略は、大雑把に表すと、どの市場(フィールド)で何(商品・製品・
サービス)をするかを決めることです。現在の「市場と商品」と将来の「市場
と商品」を照らし合わせて、拡大する領域、縮小する領域を検討しながら、そ
のために必要な人員(質・量)を検討します。

 次に人的リソースの状況を確認します。経営課題と照らし合わせ質・量の両
面から不足する人的リソースを予測し、内部で調達するか外部で調達するかを
検討します。
 内部で調達するということであれば、人材を育成して能力を高める方法が定
番です。外部から調達するということであれば、採用をすることも必要です。
また内部・外部関係なく、調達したものが継続的・安定的に力を発揮できる環
境を整えるためには、制度や職場作りを行っていく必要があります。

 上記のような仮説をある程度立てた上で、実際に採用や人材育成を具体的に
どうするのか、手段を検討する流れになります。しかし、冒頭の通り得てして
人材開発サービスを営業する立場では、自社のサービスの特長からスタートし
てしまうことがまだまだ多いようです。勿論、自社のサービスやコンテンツを、
他社との差別化も含め、PRすることは大切なことですが、それだけでは不十分
なこともあります。クライアントの経営課題と自社のサービス・コンテンツを
繋ぎ合わせるには、最低限、クライアントの経営戦略や得意とする市場と商品
については整理しておくべきです。
 同様にサービスの導入を検討する企業側も、サービスやコンテンツの人気度
ではなく、自社の戦略と照らし合わせて選択することが必要になります。

 どこから手を付けていいかわからないという相談もありますが、まずは先に
経営課題を洗い出すことをお薦めします。最初からヒトや組織に目を向けるの
ではなく、まずは経営体としてどこを目指しているのか、少なくともどの市場
やどの商品(製品・サービス)に力を入れようとしているのか、その上でヒト
や組織の課題を探ることが必要です。
 人材開発と経営のリンクを図るといった特別ではなく基本的な進め方が、今
後益々必要になるのではないでしょうか。


             (2015/12/07 人材開発メールニュース第854号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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