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2018年問題を考える
 この10月1日、大半の企業で内定式が行われたと思う。各社とも内定からの
歩留まりはどうであったか、悲喜こもごもの結果であったのではないか。

 ところで、激しい新卒を含めた人材争奪戦、業績回復による人手不足、これ
までの採用抑制のツケ、もちろん構造的な少子高齢化問題…等、様々な要因が
複雑に絡み合ってのことであるのは当然だが、大きな影響を及ぼすのは「2018
年問題」であろう。

 日本の18歳人口が2018年頃から減り始め、その影響で、大学等高等教育機関
への進学者が減り続ける問題である。現在、この2018年問題を真剣に取り上げ
ているのは日本の大学受験業界であり、大学等高等教育機関である。

 その文脈から、予備校大手の代々木ゼミナールの教室閉鎖や大手学習塾の活
発なM&Aによる陣取り合戦、入試制度の変革などが出てきている。

 しかし、この問題は当然のことながら、その2018年から高卒で働く、2年後、
短期大学・専門学校卒で働く、4年後、大学を出て働く、若年労働者層も減っ
ていくことに他ならない。労働人口の大幅な減少は、少子高齢化双方で更に加
速化される。

 日本の18歳人口のピークは1992年の205万人、それが逓減し始めて2009年に
121万人へと激減した(大学等高等教育機関だけみれば、例えば大学進学率が
27%から50%に伸びたこともあり、進学者は逆に増加)。

 2009年から2017年までの18歳人口は、多少のデコボコはあるものの、120万
人前後で推移し、ほぼ横ばい状態が続く。これが推計では2018年以降減少に
転じ、2024年に106万人、2031年に104万人まで減少する。大学問題だけでは済
まされない

 “由々しき危機”が近い将来に必ずやってくるのだ。今後、企業間の労働力
の奪い合いこれからも続くであろうし、大学を初めとする教育産業の危機でも
あるのだ。



             (2015/10/05 人材開発メールニュース第845号掲載)


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