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多様性が前提の中で、求める同質性は?
 先日ダイバーシティを考える勉強会に参加しました。ダイバーシティ(多様
性)という言葉は、様々な場面で使われています。最近では、LGBT(レズビア
ン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の話題が取り上げられよう
な機会も多く、人権問題も含めて、本当に様々な場面で使われるようになりま
した。

 ただ、何となくではありますが、これからは多様な人材を活用していくこと
が必要なので、これまで少数派(マイノリティー)?であった人々を何とかし
なくてはいけないと言う論調のものを聞くと少し違和感を感じます。「ダイバ
ーシティ&インクルージョン」という「多様性の受容」という言葉も、使われ
方によっては、多数派が少数派を受容するようなイメージがありますが、そこ
にも違和感を感じます。

 確かに多様な人材を活用することは必要ですが、元々誰一人として同じ人が
いるわけではなく、そういう意味では全てがダイバーシティであると言えます。
性別や年齢や国籍や嗜好といった属性で区切るとわかりやすいこともあります
が、経営においては、どういう区切りで人材を考えるか、もしくはどういう区
切りを用いるか(用いないか)が、今後の人的マネジメントの大きなポイント
になると言えます。

 ダイバーシティマネジメントと言われる背景には、(個人的ではありますが)
今までのマネジメントに新たにダイバーシティマネジメントを追加する、付加
するような印象を受けます。しかし、今後はマネジメントの前提がダイバーシ
ティである、マネジメント=ダイバーシティマネジメントという考え方が必要
だと言えます。

 「新入社員はこうあるべきだ、管理者はこうあるべきだ…」組織運営する上
で、当然のように求めていた同質性も絶えず見直しをかける必要があります。
何を残して、何を手放すのか、それによって調達する(できる)人材が大きく
変わる可能性があります。多様性が前提の中で、どこに同質性を求めるのか?
経営における人的マネジメント、現場におけるマネジメントの重要性がさらに
高まる時代になると言えます。


             (2015/09/28 人材開発メールニュース第844号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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