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答えを与える機会より問いを与える機会を!
 先日、長年新入社員研修を担当している方と意見交換する機会がありました。
その方が、「毎年新入社員に知識・スキル・ノウハウ等、できるだけわかりや
すく理解を深めて欲しいと思い、教育内容や教育手法に改善を続けてきた。し
かし最近、改善すればするほど、新入社員が受身になっているのではないか?
心配になってきた」と言われてました。
 教える側の創意工夫、改善が進めば進むほど、相手は受身になっている、も
しかするとそういう悪循環が起こっているのかもしれません。

 そして、その担当者の方と答えを教えるのではなく、問い(問い方)を教え
ることを意識しなければならないという話題で盛り上がりました。問うことを
意識して進めて行かなければ、主体的・自律的な学びが起こりにくいと言えま
す。学問は、問いを学ぶことであり、答えを学ぶことではありません。
 勿論、経験が浅い新入社員に業務遂行に必要な知識・スキル・ノウハウを効
率的に教えることは大切なテーマです。ただ、その次のステップとして、どう
すれば本人たちが自ら知識・スキル・ノウハウを身に付けようとするのか?教
える側にその問いが必要になります。

 例えば、フレームワークや○○法と言われるようなノウハウを学習する機会
も増えています。フレームワークなどを身に付けて情報を整理することは有用
ですが、大事なのはその後です。情報を整理して終わりではなく、整理した情
報を、どう読み取るのか?どう捉えるのか?どう活かすのか?その機会が重要
です。しかし、実際の教育現場では、やり方を身に付けることが中心になって
いることも少なくはありません。

 また、既に新入社員が自ら知識・スキル・ノウハウを身に付けようとしてい
るのであれば、決まったプログラムに従ってトレーニングするだけではなく、
敢えて教えないと言う選択が必要なのかもしれません。

 いずれにしても、最終的には、環境が変化し続ける中で、変化に対応するた
めに必要な知識・スキル・ノウハウをタイムリーに身に付けることができる自
走的な学習スタイルを持った人材を育成することが理想です。そのためには、
日頃から問題意識・課題意識を持つこと、日頃から身の回りに問いを立てるこ
とが求められます。同時に教える側は、答えを与える機会よりも問いを与える
機会を開発することが必要になると言えます。


             (2015/08/31 人材開発メールニュース第840号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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