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個性が無いのは学生ではなく、求人側では?
 就職(採用)活動が後ろ倒しになった今年、いよいよ山場である八月を迎え
ることになります。倫理協定をある程度遵守している大手企業がこれから動き
出すことになります。一方で、早めに動いた中堅・中小企業では、どの程度大
手に流れるのか、内定者が残ってくれるか、そんな話題が良く取り上げられて
います。

 一方学生は、情報ツールが発達する中で、たくさんの情報(二次情報)に触
れることで、マニュアル化した動き・対応が加速していると言えます。説明会
や選考会に、皆同じような格好で受けに来て、面談で話していても話し方も話
す内容も似通っている…年々個性が無くなっているという話は採用担当者の間
で増えています。中には、昔に比べると学生の名前が覚えにくい、皆似ている
ので名前が覚えられないという話も出ます。

 結果的に選考でも差がつかないため、甘目に判断する企業では、内定の数が
増えることになり、逆に厳しい目で見るところでは、合格(内定)者が足りな
いということになります。差がつかないと言いながら、他社でも内定を獲得し
ている無難な学生には、内定が集中し、ちょっとしたところで内定が出にくい
学生は、ずっと苦戦している傾向は相変わらずだと言えます。

 学生側の個性が無いという話題は良く出ますが、個性が無いのではなくて、
多くの二次情報に晒される中で、個性が見えにくくなっていると言えます。実
際は、一人ひとりが様々な想いを持ちながら就職活動をしています。

 企業(採用)側は、個性を引き出す努力も必要ですが、それ以前に企業側が
何を求めているのか真剣に考える必要があります。「学生側の個性が…」とい
う以前に求人側の個性も問われています。求人側が何を求めているのか?今ま
で以上にわかりやすく発信することが求められています。言葉にすることは勿
論ですが、言葉以外の表現、視覚だけでなく、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など、
五感にフルに訴求することを真剣に考える時代になると言えます。

 その企業の持つ一次情報をいかにして学生に掴んでもらうか?今後の採用活
動の大きなテーマになると考えられます。


             (2015/07/27 人材開発メールニュース第836号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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