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研修企画の基本、足して引く
 年々、社内で研修を企画される顧客が増え、研修のプログラム作りに関して
質問されることが増えています。

 育成課題や育成ニーズと言われるものも、世の中の流れと同様に多様化して
います。業務が専門分化する一方で、効率を重視して人に業務を割り付ける、
または業務に人を割り付けることが進んで行くと、一人ひとりの業務や役割が
明確になる一方で、人材育成と言う視点で行くと全体よりも個別の育成や学習
のウエイトが増える傾向にあります。

 当然、人材育成を企画・運営する側は、社内で実施すること、社外で実施す
ることの線引きが必要になります。どこまでを社内でやりながら、どこからを
社外の専門的なサポートに頼るか、そういう線引きが求められます。

 社内のリソースを使うか、社外のリソースを使うか、少しずつ社内のリソー
スを有効活用しようとすると、社内で企画する割合が増えていきます。そのよ
うな流れの中で、年々顧客からプログラム作りに関して、質問・相談、アドバ
イスを求められる場面が増えています。

 寄せられる質問に対する回答は様々です。質問の内容や背景も異なるため、
毎回バラバラですが、あえて回答する際に共通することを挙げると、二つのこ
とに集約されます。
 一つは、「目的にあった手段を」、そしてもう一つは、「目的にあった手段
を選択するために足して引く」ということです。

 目的にあった手段は、よく言われることですが、研修の成果、特に研修後の
行動イメージを意識しながら、手段を選択する必要があります。求められる行
動を生み出すためには、何が必要かと言う視点が求められます。

 もう一つの「目的にあった手段を選択するために足して引く」というのは、
ゼロから研修を作ることは少ないと言えます。何らかの研修を企画する時には、
事例やハウツーを様々な方法で情報収集することが多いと言えます。「足す」
というのは、とにかく参考となる事例や情報を集めることを指しています。ま
ずは徹底して足す、集めることが必要です。
 そして、ある程度情報が集まると今度は思い切り「引く」ことが必要です。
目的に沿って、集めた情報を削ぎ落とすようなイメージです。当初予定したも
のを半分にすると、または10分の1にすると、何を残すか?…そんな視点が必
要です。思い切り引くことで、優先順位や重視すべき点がさらに明らかになり
ます。

 研修に限ったことではありませんが、企画する際に足して引くことは、有効
な方法の一つです。逆に言えば、足すことも引くことも不足しているようであ
れば、期待される効果を得ることは難しいと言えます。
 慣れないと足すことは力が入るものの、なかなか引くことができない(少な
い)ことが多いようです。足すだけではなく、引くことも、プロセスを踏むこ
とが必要です。できれば、足して引くを数回繰り返すとより洗練されます。


             (2015/07/13 人材開発メールニュース第834号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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