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指導・育成の孤立化を防ぐ
 新卒採用も含め、労働力特に若手の労働力を確保することが難しくなる中で、
若手の指導・育成に関しても関心が高まっています(今に始まったことではあ
りませんが…)。まだまだバラつきもありますが、以前に比べると、採用した
後の定着化・戦力化に関心が高まっています。

 定着化や戦力化への関心が高いと言うのは、逆に言えば現在の若手の指導や
育成に関する不安が大きいことの現れでもあります。「育てたいけど、やり方
や進め方がわからない」、「若い人は何を考えているかわからない」、「どう
指導すればいいのか、どう言えば伝わるのか、わからない」そんな声が現場か
ら聞こえてきます。

 指導や育成のやり方は様々ですが、比較的上手くいっているところは、複数
の人が関与しシステム的に行われている一方、上手く行っていない職場に多い
のは、指導育成に関するコミュニケーションが限定されている傾向があります。
一対一のコミュニケーションが中心で、いつも話す相手が限られている傾向が
あります。

 よく指導員を付けて育成にあたる職場もありますが、指導員だけに指導を任
せる形になると、指導する側も指導される側も行き詰ることがあります。順調
な時は問題ありませんが、二者間に関係がぎくしゃくし始めると、悪循環が起
こりやすいと言えます。

 少し話は異なりますが、ハラスメントが起こりやすい職場は、孤立した従業
員が多いことが一つの特徴です。特定の人としかコミュニケーションを取らな
い、他の人から仕事ぶりが見えないと言った孤立した従業員が多い職場は、ハ
ラスメントの発生確率が高くなります。

 指導員をつけて、きめ細かく対応することは必要なことですが、行き過ぎて
孤立しないようにフォローすることが必要です。いかにして全員で育てる雰囲
気を作るかが、定着化・戦力化へのカギであると言えます。


             (2015/06/15 人材開発メールニュース第830号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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