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企業トップ、表紙を飾る
 約一ヶ月前のネタで恐縮だが、最初、その雑誌を手に取ったとき、丁度、同
じ時期に発表された“世界で最も影響力のある100人”に選ばれた日本人かと
思った。上質そうな(そう見える)スーツに痩身の身を包み、ネクタイとポケ
ットチーフはピンクに統一、まるでスタイリストにコーディネートされ、まさ
に洗練された『チョイワル』風の紳士が、表紙でポーズをとっていた。

 日経ビジネス2015.4.20号の表紙を飾ったのは、“100人…”の村上春樹氏で
はなく、ソニー社長兼CEO平井一夫氏であった。さすがに、一人の企業トップ
が表紙を飾ることは少ないので、多くの人が記憶しているのではないか。

 因みに、記憶に新しいものでは「こんなホンダは要らない」「タケダの苦悩」
など業績がらみで経営を問う同誌の特集は多くあったが、経営トップがポーズ
までとって表紙になることは少ないものは記憶にない。

 ばっちりとポーズを決めた平井氏の横には大きく『ソニーが変われぬ10の理
由』。業績低迷に関する記事と業績向上への糸口という明暗並列のお馴染みの
記事パターンになるが、同社長の経営体制になって早期退職した人は1万5千人
だという。同社を辞めた人、今いる社員は表紙と記事内容に何を感じたのであ
ろうか。

 また、このような表紙を考えた編集部や記者の意図や言いたいことは何とな
くわかるが、なんとなく曖昧な感じに流れている気がする。
 同誌には「敗軍の将、兵を語る」と「シリーズ検証」というページがある。
今後、その欄に取り上げられないことを願いたい。


             (2015/05/25 人材開発メールニュース第827号掲載)


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