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知識・ノウハウの前に課題を整理する
 人材開発を妨げる要因と言うと何をイメージされますか?
 福岡で仕事をしていると(福岡に限ったことではありませんが)、「これか
らは益々人材が大切だ、人事や人材育成に力を入れたいと思っているんだが、
うちには専門家がいなくてね…」と言われることがあります。どこでもよく出
てくる話題です。

 様々な人材開発関連のアンケートでも、人材開発を進めていく上での課題と
して専門的な知識・ノウハウが無い(不足している)という回答が常に上位に
ランクされています。

 確かに、人材開発を進めていく上で、専門的な知識・ノウハウがあった方が
アドバンテージがあると言えます。しかし、どの企業・組織も最初から知識・
ノウハウがあったわけではないので、実際の課題はそこではないと個人的には
考えています。
 また専門的な知識・ノウハウを保有する人材がいたとしても、その力を発揮
していなければ、知識・ノウハウも宝の持ち腐れになります。

 では逆に人材開発を進めていく上で何が必要かという視点で考えると、あり
ふれたことかもしれませんが、課題意識だと言えます。もっと言えば、知識・
ノウハウと言う解決策(答え)よりも、興味・関心といった課題意識(問い)
に関する意識が高いことだと言えます。

 当たり前ではありますが、課題(整理された課題)が多い組織ほど、人材開
発に取り組んでいます。
 熱心な経営者・担当者に共通するのは、社会や他社(他者)、別の場面にお
ける課題に関するアンテナが高いことが挙げられます。

 経営者だけでなく現場においても、日頃から現在もしくは将来の人材開発に
関する課題をどれだけ持っているかが重要です。課題をたくさん挙げて、発信
していると自ずと知識・ノウハウが集まってきます。
 知識・ノウハウが不足していると感じている組織ほど、将来に向けて真剣に
かつ素朴に人的資源や人的体制に疑問を持つことができるか?大事なポイント
だと言えます。


             (2015/03/30 人材開発メールニュース第820号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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