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仕事の起点を考える
 若手社員や中堅社員を育成する視点の一つとして、「仕事の起点」という考
え方があります。仕事の起点とは、どこから仕事がスタートするのかという考
え方です。例えば、仕事の起点を「指示・命令」→「ニーズ・要望」→「ウォ
ンツ・期待・役割」というカテゴリーに分け、現在担当している業務がどこを
起点にしているのか確認する方法です。

 上司や顧客からの具体的な「指示・命令」を聞いてから業務を始めているの
か、上司・顧客からの「ニーズ・要望」を聞いて始めているのか、「ウォンツ・
期待・役割」を汲み取って始めているのか、いずれにしても業務に取り掛かる
きっかけ(起点)は様々です。

 分け方は様々ですが、要は言われて取組み始める(「指示・命令」的な)仕
事が多いのか、自分で想像しながら始める(「ウォンツ・期待・役割」的な)
仕事が多いのかを確認することが目的です。厳密に仕事の起点を分けることは
難しい場合もありますが、担当業務の起点がそれぞれ何割ぐらいの割合になっ
ているのか確認するだけでも具体的な課題を検討しやすくなります。上司−部
下や先輩−後輩など、自己評価と他者評価をすると、それぞれの起点のイメー
ジが異なることもあります。

 仕事を覚えて処理できる量が増えているものの、言われたことだけをやって
いる場合は、評価されないこともあります。本人は仕事をやっていると思って
いますが、周囲は仕事をやっていないと判断するケースもあります。

 育成場面においては、前述の通り、どこが起点になっているのかを確認して、
目標を設定することも必要です。現在の仕事がほぼ10割「指示・命令」からス
タートしているのであれば、9割を「指示・命令」、1割「ニーズ・要望」から
導き出す仕事にするというような形で進めていきます。
 マネジメント的な役割を担う頃には、当然自ら課題を発見・発掘することが
必要になりますので、いかにして「ウォンツ・期待・役割」から仕事を創造す
るかが求められます。

 毎期ごとに担当業務の種類と量、加えて起点のレベルを考えると、具体的な
目標設定がしやすくなります。個々人の取り組みも注視する必要がありますが、
組織的な視点では、より高いレベルの起点に向かうような仕組みになっている
かが重要です。より高いレベルの起点を目指す人材が集い、育つ仕組みがある
組織は、力強い組織になると考えられます。

             (2015/02/02 人材開発メールニュース第812号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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