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就職合宿の現場から・2014年末−学生の挫折体験(2)
 前回(第809号)の学生の挫折体験の続きをさせて欲しい。
 挫折、失敗といっても決して深刻なレベルのものはないので安心してほしい。

 そもそも、大学全入の時代、私の関与している大学は、地方の中堅どころ。
よっぽどのことがない限り、落ちることはないし、そもそも国立や首都圏・近
畿圏(東海圏を含む)の名門、上位校を受けることもなく、不合格の体験もほ
とんどない。失恋はわからないが、「挫折することなく大学生になりました」
的大学生ばかりだ。

 そして、驚いたことに、別の傾向があることに気がついた。
 約250人にレポートを書いてもらったのだが、約2割、50人くらいが『やらな
かったこと』を挫折、失敗と表現したのである。

 曰く「友だちを作らなかった」失敗、教職課程を取ったのに「勉強しなかっ
た」失敗、留学目的で大学に来たのに「留学しなかった」失敗、検定を受検せ
ず資格を一つも持っていない、語学系なのに英語力がまったく上がっていない、
というように、不作為の失敗ばかりである。

 さらに、よくよく読むと金銭的な問題、家庭環境の問題、病気・事故といっ
た問題で“できなかった”のではなく、怠惰、他に関心が取られて『やらなか
った』のである。そして、驚くことにその代わりに別のものを成し遂げた、成
果を上げたものも示せないのである。

 やってみての失敗は成長の糧になるだろうが、『やらなかったこと』を失敗
と思う学生は今後、どのように成長するのか、解が見あたらない。

 そうそう、こんな失敗が二人いた。『「英語が嫌い」「英語が苦手」なのに、
たまたま合格したのだ、英語を学ぶ学部に入った失敗』。
 今度は、親がかわいそうになる。


             (2015/01/26 人材開発メールニュース第811号掲載)


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