Back Number

決断の潔さ
 以前プロ野球の世界に入ったものの、思ったような結果が残せず、引退した
選手と話をする機会がありました。
 その方が選手時代に一番困った(迷った)ことは「フォームを変えるかどう
か」という話でした。プロに入るぐらいの選手であれば、これまでのやり方に
も自信を持っていて、コーチや周囲がフォームを変えろと言われても、決断が
難しいと言われてました。結果が出ない日々が続くと自分自身でも変えた方が
いいのでは?もう少し今のやり方で…日々葛藤が続いていたようです。

 プロスポーツの世界に限らず、上手く進んでいないときに、自分の考え(や
り方)を貫くか、自分の考え(やり方)を変えるか迷うことはよくあります。

 結果的にその方は、長い期間悩んだ上で、フォームを改造したものの、それ
でも結果が出ずに、最後の方は頭も身体も混乱していたと言われてました。話
を聞いている中で一番印象に残ったのは、引退してかなり年月が経過した現在
言えるのは、どのフォームが良いということに「答えはなく」、むしろどう取
り組むか「潔さ」が必要だったのでは…という内容でした。

 実際、本人も周囲もどのフォームが良いかと言うのは、本人しかわからない
こともあり、また同様に周囲しかわからないこともあります。正解があるわけ
ではなく、絶えず模索しなければいけないのが現実だと言えます。
 模索する過程の中で、長い時間悩む方法もあれば、変えるにしろ変えないに
しろ潔く決断して、その結果でまた模索を続けていく方法もあります。悩むこ
とは勿論必要ですが、局面を打開するためには、意思決定のスピードや大胆さ
が必要だと言えます。特に様々な価値観を持つヒトの集合体である組織では、
意思決定の潔さは必要だと言えます。

 決断、「決める」ことの潔さ、「断る・断つ」ことの潔さ、両方必要です。
組織での決断に対して不満が多い場合は、どちらかに偏っていたり、どちらか
は潔さは感じるが他方では感じないということかもしれません。
 組織での決断の傾向も、その組織の特徴の一つだと言えます。


             (2014/10/13 人材開発メールニュース第797号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page