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内定の「率」と「質」
 新卒の就職戦線が絶好調だ。
 景気回復や団塊の世代の完全リタイヤ、復興特需に五輪特需と、内需外需の
違いや環境の違いはあるにしても、総じて新卒は売り手市場に転じている。

 そんな中、恒例のといっては失礼だが、週刊誌や季刊誌で「就職に強い大学」
「就職率のよい大学」的特集が目につくようになってきた。出版社にとっても
学校というカテゴリーのクライアントの獲得につながり商売としても旨みがあ
るのだろう。

 しかし、今や就職率95%弱の時代である。特段の事情がある学生以外、「内
定は当たり前」の時代である。そうなると、もはや「率」は大事な指標なのか、
はなはだ疑問を感じてしまう。 まして、一学年4000人もいる大学と、一学年
2-300人の大学と比較できるかも疑問である。同じ大学でも1%の数字の中に何
人の学生がいるか、まさに一票(%)の格差でもある。

 これからは、内定で競うならその「質」で競う時代ではないだろうか。「金
融機関内定率」「地銀内定率」「メガバンク内定率」「外資系内定率」「一部
上場企業内定率」「地方公務員内定率」「国家公務員内定率」…こうしたカテ
ゴライズがふさわしいかどうかは別の議論に譲るが、内定は当たり前の時代に、
相も変わらず内定率だけで比較するのはもう止めた方がいいと思う。
 最も以前、ある雑誌で同様の企画があり、ある地区で「国家公務員内定数第
一位」というものがあり、某大学が選ばれていたが、知り合いがいたので確認
すると、全員が自衛隊合格だったという。もちろん、立派な内定でそれをとや
かく言うつもりはないが、つい国家公務員総合職と思ってしまうもので、率も
大事だが合格区分の提示こそその質を示すことになろう。あまりにも包括的な
表現では誤解を招くことにならないか。

 「質」重視の切り口を期待したい。

             (2014/08/04 人材開発メールニュース第788号掲載)


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