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一つ上の立場で考えるから壁を外す、線を外すへ
 階層別の研修場面でよく使用されるフレーズとして「一つ上の立場で考える」
と言う言葉があります。特に管理職においては、ロワー・ミドル・トップとい
う位置づけができるようであれば、ロワーはミドルとして、ミドルはトップと
言う立場で考えることが必要だと言われます。いつの時代においても一つ上の
立場で考えることは大切なことです。

 しかし、最近ではフラットに近い組織が増えたり、プロジェクト型の組織が
増えたりする中で、一つ上が誰なのかがわからない、そんな話題も出ているよ
うです。わからないことはないと思いますが、ただ形式上での上司と実質的な
上司が異なる?現場で混乱している組織もあるようです。

 いずれにしても、タイムリーに経営課題に対応するために組織や仕事・担当
業務の変更が頻繁であればあるほど、中で働いている人々は、自らの立ち位置
はどこなのか?迷うケースも増えています。

 そうした中、最近「一つ上の立場で考える」と似たような意味で使用される
フレーズとして「壁を外す、線を外す」というものがあります。部門の壁を取
り払ったり、細分化された担当を外してみたり、一旦引かれた?線を外して物
事を考える、判断する必要性が叫ばれています。

 ほとんどの組織は最初から分かれていたわけではなく、もともと同じだった
ものが、生き残るために細胞分裂を繰り返しているようなものです。元々は一
つだったので、いかに全体観を持たせるかは経営・人事両面において大切な課
題です。○○部と××部、正規・非正規、男性・女性、組織の中には多種・多
様な「線」が引かれているのかもしれません。特に無意識の内に線を引いて、
線から外のことに関心を持たない従業員が増えている組織は、要注意だと言え
ます。
 基本は一つ、全体であることを従業員に意識させ、行動を引き出すことは、
人材開発・組織開発の重要課題です。
 皆さんの周りには、どんな線が引かれていますか?


             (2014/07/28 人材開発メールニュース第787号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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