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観察することにも目標を
 採用市場が活況になる中で、中長期的にも人材獲得が難しい環境になると意
識する企業が増え始めています。同時に、今獲得している新人・若手を大切に
育てながらかつできるだけ早く戦力化することが求められています。

 新入を受け入れるにあたって、特に現場で戦力化していくためには、OJTが
カギです。OJTを通じてまず最初の身に着けさせたいのは「指示(要求)され
たことを指示(要求)された通りにやる」ことです。単純に思われるかもしれ
ませんが、上手くいっていない組織ほど、新人限らず指示(要求)されたこと
が確実にコミケーションできていない場面が見受けられます。

 できれば育成担当者を任命して、「指示(要求)されたことを指示(要求)
された通りにやる」トレーニングを反復するのが理想ですが、ここしばらく採
用を控えていた企業では、育成担当者の人選に苦労する組織も増えています。
特に中小企業であればあるほど、育成に関する人的資源も限られているため、
最初は見て(観察して)覚えてもらうしかないと言われるところもあります。

 そう言うケースでは、観察することにしっかり目標を持たせることが効果的
です。一般的な方法ですが、観察する際に必ず「何を」「どのように」「なぜ」
の三点を必ずメモするように指示し、あとで報告させる方法があります。
 「何を」では動作を、「どのように」では様子を記入させます。「なぜ」で
は推測や想像で構わないので、なぜそのような作業を行っているかを記入させ
ます。その三点を確認するだけでも、理解しているかどうか、あまり教えなく
ても作業ができるかどうかが確認できます。

 新人も育成担当者も限られている時代では、育成の精度を上げていくことが
求められます。ちょっとした工夫を積み重ね、現場全体で精度を上げる取り組
みができる組織が、成長性の高い組織になると言えます。

             (2014/03/24 人材開発メールニュース第770号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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