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ぜんぶ雪のせいだ
 「ぜんぶ雪のせいだ」。
 多分、関東地方を中心に流れていると思うが、JR東日本のスキー場への集客
CMのキャッチコピーで、旅行先などのリゾート地で出会った異性に急に惹かれ
る「ゲレンデマジック」という心理的効果を盛り込んだものである。

 東北地方・日本海側に今年最大・最強・最長の寒波が襲ったとき、私は青森
にいた。早めに仕事が終わり、天候が危ういというお客様の配慮もあり、不安
な飛行機を見切って東北新幹線に飛び乗った。その日は東京駅を経由して名古
屋から岐阜に向かう予定もあり、飛行機ならかなり遅くなるのを覚悟していた
ので、早めの移動は願ったり適ったりであった。

 新幹線は順調に盛岡に到着、すると、アナウンスで連結する秋田新幹線・こ
まちが「雪のため」遅れているという。その時間7分。そのうえ、盛岡に着い
ても車両上部に積もった雪を落とすので、さらに遅れが見込まれるという。因
みに、この最強最大最長の寒波は一週間前から予想されており、「大雪が降る
ことは想定内だった」のである。それがこの体たらく、そしてアナウンスは繰
り返す「雪ため」。そうか、大量のCM放映はこのための布石だったのだと気付
く。

 やっと10分遅れで新幹線は発車、実は東北新幹線から東海道新幹線の乗り継
ぎ時間は12分、弁当と酒を買う時間は余裕だと思っていたのに、乗り継ぎさえ
危うい。よく東海道新幹線は遅れを途中のスピードアップで取り戻してくれる
ことがあるので期待していたが、残念ながら「トレインマジック」「JR東日本
マジック」はなく、ほぼ予定通り10分遅れで東京駅に入線。走る走るのゼイゼ
イで東海道新幹線に乗り換える。

 買いたかった駅弁もあったのに、東海道新幹線の車内販売で、食べたくもな
い弁当で腹を満たす。走る、ゼイゼイ、イライラ、食べたくもない弁当(そし
て高い)、こんな目にあったのも「すべて雪のせいだ」いや「JR東日本のせい
だ」。

             (2014/02/03 人材開発メールニュース第763号掲載)


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