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気づいていない可能性を引き出す人材開発
 前回(前々回)本メールマガジンの750号を発行することができました。丁
度そのタイミングで、人材開発(HRD=Human Resources Development)につい
てどう思うかという、ざっくばらんな?質問をいただきましたので、今回は私
見を述べます。

 人材開発と言うと、どうしても採用、教育、人事制度などの方法論、いわゆ
るノウハウ的な話題が中心になります。しかし、多種多様なノウハウが増える
中で改めて目的や本質的な機能を見つめることが必要だと言えます。
 本来、人材開発は、経営戦略・事業戦略を推進するために行われるもので、
その本質的な機能(役割)は、一人ひとり“ヒト”の持つ可能性を引き出すこ
とだと考えています。

 “ヒト”が持つ可能性を引き出す方向性としては、大きく二つあります。
 一つは、既に個々人が自覚している長所や個性を伸ばす、持ち味を活かすこ
と。そして、もう一つは、本人がまだ気づいていない可能性を引き出すことで
す。例えば、「ジョハリの窓」で言えば、「他人は気づいているが、本人が気
づいていない」領域をいかに見出すかという事になります。

 自覚されている長所を伸ばす・持ち味を発揮することは、得意なことや興味・
関心が高い分野を深堀していくような作業だと言えます。本人の意思(開発意
欲・やる気)が伴えば、当然自分で伸ばすことができます。全てではなくとも、
ある程度自分で磨くことができる領域です。

 一方、本人が気づいていない領域を引き出すことは、当然一人ではできませ
ん。人と人との関係性の中で初めて可能性が生まれる領域です。一人ではでき
ない、組織としてのメリットが一番発揮される領域であると言えます。

 これまでの人材開発は、どちらかと言えば、長所を伸ばす・持ち味を活かす
ことが主流であったと言えます。勿論、そのことも必要ですが、これからは、
まだ見えていない・開かれていない・埋もれている可能性を見出すことにもっ
と注力することが求められます。特に、少子高齢化による人口減少が進む社会
においては、今目の前に存在しているヒトの可能性をどう発揮させるかは大き
なテーマです。

 本人が気づいていない可能性を引出し、本人が自覚することで、その後は自
分で磨いていけるようなサイクルを構築できる組織やシステムが求められます。
 その要になるのは、現場を束ねる管理者の方だと言えます。そして、まだ見
えない可能性を引き出す源泉は、一人ひとりの成長を願って、一人ひとりを見
つめることではないでしょうか。

             (2013/11/11 人材開発メールニュース第752号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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