Back Number

基本的で奥が深いキャッチボール
 コミュニケーションは、一方的ではなく双方向であるために、良くキャッチ
ボールに例えられます。先日、ある人材育成の担当者の方と話していた時に、
若手の育成を考える際に、キャッチボールは基本なので、もっとしっかりトレ
ーニングしたいという話で盛り上がっていました。
 全てではありませんが、よほど慎重なのか、こちらからボールを投げても、
投げ返されるタイミングが遅かったり、ボールを投げても戻ってこない…そう
いう場面が増えているという話題で盛り上がっていました。

 社会人になってすぐの頃は、問いかけに対してわからない場面が多く、一番
最初に勇気が必要なのは、わからない状態でボールを投げ返すことかもしれま
せん。わからないことをわからないとタイミングよく投げ返せるスキルは貴重
です。タイミングよくというのは、相手が受け取りやすいという意味ですが、
どのタイミングでわからないと意思表示する(ボールを投げ返す)のかは、ト
レーニングが必要なポイントです。

 若手に限ったことではありませんが、ミスが許されないような雰囲気がある
と、なかなか不完全な状態で投げ返せません。しかし、個人的にミスを恐れて、
ボールを持ったままだと、本人は自分のミスを怖がっているだけかもしれませ
んが、組織としては、有効な手立てが打てずに、窮地に追い困れるようなこと
もあります。

 ビジネスの場面では、正解はありません。もし正解に近いものがあったとし
ても、TPOによってすぐに変わります。変化するスピードが早ければ早いほど、
正解だと思っていたことが陳腐化してしまいます。チームとしても個人として
も、ベストではなく、ベターな判断を継続していくことが必要です。そのため
にも正しい情報・事実をつかむ必要があります。

 IT(ICT)の発達とともに、コミュニケーションをとる手段は格段に進歩し
ています。しかし逆に言えば、次から次に情報だけは流れてくるので、受け取
ることが難しくなっているのかもしれません。もしかしたらボールを投げ返そ
うとしているタイミングで、こちらから先にボールを投げつけているのかもし
れません。

 コミュケーションの基本であるキャッチボール、本当に基本ですが奥深いも
のです。個人的にも組織的にもキャッチボールの熟達を目指したいですね。

             (2013/09/30 人材開発メールニュース第746号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page