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デジタルツールの使いこなし?
 スマートフォンやタブレットの普及は、事の進め方を根本から変える…。
 先日、久々にディベート研修の講師を担当してきた。若手社員対象で、論題
を事前に提示し、研修当日に情報収集しながら論理構築を進めていくしかない、
時間が少々タイトな実施になった。

 各グループにノートPCを一台用意して情報収集に活用させる予定だったのだ
が、気が付けばグループのメンバーは各自がスマフォ、タブレットを持ち同時
並行で情報収集を始める。PCはあくまで全体共有やプリントアウトのために使
用する。傍らで見ていて、何と効率の良いことかと、アナログ親父は感心して
しまった。デジタルツールの使いこなしの鮮やかさに脱帽である。

 ところが…である。各自が集めた情報が膨大にプリントアウトされテーブル
に山積みされたときから彼ら彼女らの行動はピタリと止まる。各自がそれぞれ
の思惑で集めたもので、焦点が定まらない。絞り込めない。資料の山を前にし
てテーマに沿って取捨選択していくことに手間取る。決めきれない。論理の整
合性が図れない。結局、情報収集で短縮した時間は、論理構築作業で行きつ戻
りつ、かえって無駄な時間になってしまった。

 残念ながら、スマフォ、タブレットは指示通りに動いてくれるが、意思決定
をしてくれる訳でもなく、自動的に論理を構築してくれる訳でもない。

 当然のことながら、研修の締めくくりにあたって仮説設定や方向性の事前す
り合わせ、論理展開に沿った情報収集、情報の取捨選択、意思決定などを意識
させながら振り返りを行ったのは言うまでもない。

             (2013/08/05 人材開発メールニュース第739掲載)


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