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学び方を学び続ける
 学び方を学ぶ、学び続けることは、終わりがないテーマだと言えます。
 個人的にはあまり好きではありませんが、○○学習法と称されるものが、次
から次に出てくるのも、どれが正しいやり方ということではなく、多種多様な
学び方があるという現れだと言えます。一人で学ぶ、複数で学ぶ、身体を使っ
て学ぶ、道具を使って学ぶ、TPOを変えて学ぶなど、様々な学びがあり、学び
方を学ぶことで幅を持つことは大切なことです。

 最近人材開発の現場では、「応用力が乏しくなっている」と言う声が増えて
います。教えたことは、きっちりできるが、少し条件や場面が変わると適用で
きない、広げて考えようとしない…そんな傾向が増えているようです。

 その要因の一つとして学び方が、受動的であるということが挙げられます。
情報化が進み便利になればなるほど、基本的には受け身の学びが中心になり、
学び方そのものを開発したり、選択する機会が減っていると言われます。
 何か一つ情報を探すにしても、ネットで検索からスタートすることが当たり
前になり、気がつけば、ネット以外での探し方を知らない、わからないという
ことが起こっているのかもしれません。

 ネットを利用することは悪いことではありませんが、それが全てではありま
せん。気を付けたいのは、ネットで事足りると、よほどのことがない限り、そ
こから広げるような行動が起きないことです。アン・ラーン(学習棄却)が必
要だと言われるのも、成功した学びに縛られると、新しい発想が生まれにくく
なるためです。少ない労力で多大な情報が入手できる環境は、非常に便利です
が、反面外部から何かを得るいうプロセスが退化しやすいのかもしれません。

 同じゴールを目指すにしても様々なプロセスやアプローチがあります。多様
性を持つことで、変化には適応しやすくなります。学びも同様で様々な学び方
を身に着けることで、新しい学びが生まれます。学ぶことで新たな発想・行動
が生まれ、また新たな学びにつながっていくという循環によって、イノベーシ
ョンが起こりやすくなります。

 「学び」と言うとどうしても人・個人としての捉え方が中心になりますが、
組織でも同様のことが言えます。学び方のバリエーションが少ない組織では、
イノベーションが生まれにくいと言えます。絶えず新しい学び方にチャレンジ
してみることが、組織を活性化させることにもつながると言えます。

             (2013/07/22 人材開発メールニュース第737号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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