Back Number

ミスをカバーする組織としての抑止力
 ハラスメントやコンプライアンスに関する研修に携わる機会が増えています。
正直なところ、予防というよりも、何かしらハラスメントやコンプライアンス
に関する問題が発生した…再発防止を目的とした研修が多いのが実情です。
 再発防止のため依頼される内容は、「もう一度基礎的なところから見直した
い…」、基礎からの復習を求められることが多い感じです。

 しかし、多くの場合、特に企業規模が大きいほど、また責任あるポジション
であればあるほど、知識面ではほとんど問題ありません。ハラスメントやコン
プライアンスに関して十分知っている・わかっている(しかし、できていない)
という状態です。特に組織の中では、自分以外の誰かの行為に関しては、ほぼ
完璧に認識しており、ケーススタディや実際の職場での起こっている事例を取
り上げた場合、理路整然と問題点を指摘できるレベルです。

 大事なことは、そこまでわかっているのに行動レベルでできていないという
点だと言えます。勿論、個々を見ると判断基準(ライン)の高低は、たしかに
存在します。「ここまではいいだろう、この位はOKだろう」その基準(ライ
ン)にブレがあるのも事実です。基準のブレに関して、前述の基礎的な部分を
見直す方法は有効だと言えます。

 判断基準(ライン)が徹底されていないことに起因する常習的な違反に関し
ては、基礎を繰り返す必要があります。しかし実際の現場では、判断基準(ラ
イン)は理解されながら、突発的な違反が発生することが多いのではないでし
ょうか。「魔が差した」という言葉に代表されるように日頃は遵守しているが、
一瞬判断を誤った、そういう話題もよく出ます。勿論、魔が差したことも個々
の判断基準の問題ですが、突発的な出来事を防ぐには、個々のスキルアップだ
けでなく組織・集団としての抑止力を高めることが求められます。

 個々のミスをカバーできるような組織・集団としての予防力・抑止力をどう
構築するか…個々を置き去りにしない組織・集団作りが今後益々必要ではない
でしょうか。

             (2013/07/08 人材開発メールニュース第735号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page