Back Number

「個」と「組織」の両面から
 人材開発を進めていく上で、「人(個)」と「仕組み・環境(組織)」の両
面から考えることは大切なことです。

 通常人材開発を進める場合は、「人(個)」に焦点を当てスタートすること
がほとんどです。「新入社員の早期戦力化を図りたい」「次世代のリーダーを
育成したい」「営業マンの○○力を強化したい」など、「人(個)」のスキル
アップやブラッシュアップがテーマになることが多いと言えます。

 その反面、個への様々なアプローチは力を入れているが、組織としての成果
につながっていないと問題提起されることもあります。その一つの要因として、
個が保有する能力を発揮する(発揮しやすい)「仕組み・環境(組織)」が不
十分であることも考えられます。

 先行きが見えない、不透明だと言われ続ける中で、職場でも、何となく落ち
着かない、不安だ、そういう声が増えています。足元が落ち着かない、グラグ
ラしている状態で、「思いっきりジャンプしろ!」と言われても、飛べないの
が普通です。ジャンプする力が足りていないのではなくて、力を出す環境が整
っていない…そういう場面も増えているのではないでしょうか。

 勿論、育成や成長の基本は「個」です。個のレベルアップがなければ組織も
レベルアップできません。しかし、個の育成・成長に大きな影響を与えるのは、
仕組み・環境であることも見逃せない事実です。禅問答のようになりますが、
どのような仕組み・環境を構築するかということも、仕組み・環境作りを任さ
れた個に掛かっています。

 いずれにしても「力をつけること」と「力を発揮すること」を複眼的に見る
ことが必要です。「個」と「組織」を両面から見て、多様なアプローチを発案
することが、今後ますます人材開発部門(担当者)に求められのではないでし
ょうか。


             (2012/12/10 人材開発メールニュース第707号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page