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2014年卒・就職活動解禁
 いよいよ今期の就活が解禁になる。
 多くの大学生が12月1日より一斉に「ヨーイ、ドン」のスタートだ。とはい
うものの、現在関係している三大学の学生を見ていると地域性もあるのか、大
学間、学生間での温度差がかなりある。

 本来はのんびりしている青森の学生が、学校(私)の早くからの意識付けも
あってか、意外に準備を早めているのが面白い。実は現四年生の就活が本人た
ちには大変失礼な話だが、地元銀行への内定、地元公務員・警察官、そして全
国区の大企業へと内定率も内定のレベルも最高値を記録した“勢い”からか、
例年にも比して学生の鼻息の荒さがとてもうれしい。

 しかし、「生まれ育った場所」次第で先々の就職―或いは人生―が決まるの
は何となく不条理を感じる。申し訳ないが、青森には仕事がなさすぎる。もち
ろん、探せばあるのだろうが、新卒の学生が目指すであろう銀行や公務員はま
だしも、青森には製造業がほとんどなく、ナショナルブランドの大きな工場も
見当たらない。

 一方で、就職できるかどうかは別として、別の大学のある東海地区は自動車
関連を筆頭に製造業はひしめき合い、地銀をはじめとした金融機関の数は違う
し、採用数も段違いである。

 そんなことを常々考えていたら、地方には別の心配がわき上がってきた。シ
ャープ、パナソニックをはじめとする国内大手製造業のリストラ、工場閉鎖・
売却、あるいは自動車などの生産拠点の海外移転である。所謂、企業城下町の
衰退でもある。「大手製造業の○○地区工場」―たとえ本社のエリートとして
華々しく活躍しなくとも、地元で働けて安定している万々歳の将来…その崩壊。
何もない青森の方が幸せかもしれないと私は声を大にして学生に訴える。説得
力は微塵にも感じないが、学生の心に響いたようにも見える。

 人生は長い。どこの内定を獲得するかは通過点でしかない。勝ち負けも何十
年もずっと先にあるかもしれない程度の話だ。しかし、その通過点にすら立と
うとしない、立たない学生も多い。
 その戦いが始まる。


             (2012/12/03 人材開発メールニュース第706号掲載)


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