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差異の増大とハラスメント対策
 ロンドン・オリンピックが開幕しました。
 しばらくは、寝不足の方も多いのではないでしょうか。

 さて話は変わりますが、今年は、ハラスメントに関する研修や勉強会に携わ
る機会が増えました。中堅・中小企業でハラスメントと言うと、「セクハラ」
という印象が強いようです。勿論セクハラも大きなテーマですが、ハラスメン
トとは、(職場における)いじめ、嫌がらせのことであり、いたるところで発
生したり、発生する可能性を有していると言えます。

 価値観の多様化、雇用形態の多様化、職場に居るヒトの“差異”が増える中
で、ハラスメントが発生する要素・条件も増えている印象を受けます。いじめ、
嫌がらせには、意図的で悪質なものもあれば、無意識・意図的ではない言動で
誰かを傷つけていることもあります。しかし、意図的であろうとなかろうとハ
ラスメント=いじめ・嫌がらせを減らす、なくしていくことが必要です。

 ハラスメントに限ったことではありませんが、対策の方向性としては、治療
策(起きている時にどうするか?)と予防策(発生しないようにするにはどう
するか?)があります。中堅・中小企業でたまに起こっていることですが、ハ
ラスメント対策を検討する際に、発生時対策が中心となり、検討すればするほ
ど雰囲気が悪くなり、結果対策が形骸化しているようなケースもあります。そ
れでは本末転倒です。
 勿論、発生時には早急な対応が求められますが、職場作りという観点では、
今後は予防に力を入れることが必要です。実際、研修やワークショップで、治
療策・予防策それぞれにアイデアを出していただくと、予防策の方が前向きで
かつ取り組みやすいアイデアが数多く挙げられます(当然ですが…)。

 予防に関してアイデアを出すと、必ずコミュニケーションの必要性がテーマ
になります。しかも必ずと言っていいほど、通常(ライン上)のコミュニケー
ションだけでなく、インフォーマル(斜めの)コミュニケーションの必要性が
挙げられます。職場内で多種多様なコミュニケーションを創造することが一つ
の「鍵」になると考えられます。

 前述の通り、職場で働くヒトの差異が増えるのは、止めようがない流れです。
今後は、差異の増大を前提に、ハラスメントをなくすと言うレベルではなく、
もっと大きな観点で「働きやすい職場、働きがいがある職場」についてコミュ
ニケーションを深めることが求められるのではないでしょうか。


             (2012/07/30 人材開発メールニュース第689号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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