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しない組織ではなく、する組織
 組織や職場全体で、必要性はわかっているが、なかなか実行・実現が伴わな
いという話を聞くことがあります。特にコンプライアンス・法令関連について
は経営への影響も高く、周囲から厳しく問われることが増えています。コンプ
ライアンスに限ったことではありませんが、当たり前に守るべきルールが存在
し、その必要性は十分にわかっていながら、組織・職場として遵守できないケ
ースは少なくありません。

 個人的な感覚ですが、約束事・ルールが破られやすい?守られ難い?環境が
あるように感じます。その要因の一つとして、約束事・ルールがネガティブリ
スト的な形で表示されているケースが多いことが挙げられます。
 ネガティブリストとは、禁止するものや制限するものを列挙した形式です。
具体的には「××してはいけない」「××禁止」という形で表現されたものが
代表的です。

 逆に約束事・ルールが守られているケースでは、どちらかと言えば「○○し
よう」「○○やろう」という表現をされていることが多いようです。たかが表
現と思われるかもしれませんが、例えば上司から指示される場面でも「××し
ないように」と「○○しよう」では、似たような意味合いでも、受け止め方が
異なるのではないでしょうか。

 実際に目指しているレベルは、「××しない」ということかもしれませんが、
「〜ない」と表現されているものを「〜ある」と一歩進んだ、より積極的な目
標に置き換えることは、大事なことです。「××しない」と最低限のレベルを
目標にするのではなく、そこを超えたところに目標を置いてみることです。
 「××しない」ではなく「○○する」に置き換えることで、新たなアイデア
やイメージが出てくることもたくさんあります。また最低ラインを超えたとこ
ろに目標を置くと、最低ラインがより手前に、よりリアルに手が届く感じに見
えてきます。人が能動的に動くためには、高い目標よりも「手が届く感」が大
切です。

 本来どの組織・職場も「××しない職場」ではなく、「○○する、○○でき
る職場」を目指しているのではないでしょうか。
 皆さんの周りに、ネガティブリストが溢れていたら、少し置き換えてみては
いかがでしょうか?


             (2012/06/11 人材開発メールニュース第682号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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