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隠れている・忘れているものを呼び起こす
 人材開発・人材育成に携わる方々は、どのようにしてヒトや組織を成長させ
るか、そのために必要な能力やスキルをどう身につけさせるか、絶えず頭を悩
ませていると思われます。
 特に変化が速く、激しい時代においては、技術的なことは勿論のこと、次か
ら次へ身に付けなければ取り残されてしまう…そういう話題もたくさん聞きま
す。採用や育成の場面でも「早期戦力化」というキーワードが増えています。

 ただ最近、個人的には、逆の観点も大切だと感じています。逆と言うのは、
何かを身に付けよう、増やそうと取り組んでいるが、その一方で実際は、日々
失っているものがたくさんあり、むしろ失うスピードを落とすことも必要では
ないか、またできるならば、失ったものを取り戻すことも必要ではないか…そ
ういう捉え方も必要だと思います。脳細胞のように元々たくさんあるものが、
どんどん消滅している、そういう現象が起きているのかもしれません。経験を
積むことでプラスされるものもたくさんありますが、その一方で誰しも以前と
比べて失っているものもあります。

 ゆとり教育、学力低下、色々言われますが、学力が低下している、足りない
というよりも、むしろ元々あったものを消し去っているような印象を受けます。
「足りてない」ことよりも、「隠れている・忘れている」ようなことがたくさ
んあるように思われます。

 今後の人材開発・人材育成には、隠れている・忘れているものを呼び起こす
ようなアプローチも必要だと思われます。そのためには、単純なのかもしれま
せんが、書き出す作業が効果的です。また書き出す以外でも、頭の中や身体の
中にあるものを、主体的に表現することが、益々必要になるのではないでしょ
うか。


             (2012/04/23 人材開発メールニュース第676号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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