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就職指導の現場から・2012年春(2)
 現4年生の話である。
 キャリアカウンセラーの勉強仲間から、未内定の甥っ子の相談に乗ってくれ
との依頼を受けた。これまでも10人近くの知人のお子さんや親戚の就職のお手
伝いをしてきたので二つ返事で引き受けた。知人本人が対応したかったようだ
が、中国の現地法人のトップで赴任中とあっては、状況的に許されなかった。

 本人と一月頭に連絡をとった。メールでのやりとりになってしまったが、本
人は、卒業しての就職浪人、卒業せずに留年−現在の大学には卒業延期制度が
ない−、大学院進学、卒業して専門学校…と選択肢を示すのだが、「卒業ギリ
ギリまで就活する」という言葉が出てこない。折しも、ソフトバンクが100名
追加募集といった情報に接して、3月31日まで可能性があるといっても前に出
ようとしない。挙げ句の果てには「一月は期末試験に集中したい」と言う。
もう4年なら単位なんてほとんど取っていると思いきや、10科目ほど必修が残
っているという。就職より卒業が心配になってきた。結局、試験終了まで待つ
ということになったが、それまでの就活を質問してビックリ、10社程度しかエ
ントリーせず、面接まで行けた企業はゼロという。

 メールのやり取りを見ていると、決して能力が低くないのだが、なぜ就活を
していないのか理由がわからない。聞いても「なんとなく…」という感じ。逃
げる手段がたくさんあることが、前に進ませない原因かもしれない。

 そして…試験が終わって二月に入っても彼からはメールが来ない。こちらか
ら、やんわりと促してみても返事は来ない。
 そして、時間ばかりが過ぎていく。彼は現実から逃げ続けている。
 もう卒業式、将来はどうする?


             (2012/03/19 人材開発メールニュース第671号掲載)


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