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就職指導の現場から・2012年春(1)
 “あの日”から約1年が過ぎようとしている。
 被災地の方々には申し訳ないが、あっという間の1年であった。一日も早い
復興・再興、避難生活から故郷に帰れる日を祈念するばかりである。

 話は突然変わり、新就職戦線の下、今年の就活戦線はどうなることかと思っ
たが、危機感に突き動かされて学生の動きが活発かと思いきや、意外にも動き
の鈍さが伝わってくる。それは、企業へのエントリー数の激減に表れているよ
うだ。

 このところ少々仕事の時間に余裕ができたので、採用関係でお手伝いした企
業を数社回ってきた。いずれの企業も今年は採用に積極的で、多々条件はある
ものの採用数は昨年よりも2−3割増である。昨年は震災の影響もあって、やや
採用は手控え気味、予定数を2割満たせず採用を手締まった企業は今年は4割増
の採用計画なのだが、母集団が伸びないという。

 12月1日からの出足も悪かったうえ、年を明けても増えない。そのうち…と
思っていたら、伸びないままに2月を迎え、単独の説明会の集客もイマイチと
のこと。しかし、悪いことばかりではなく、母集団や説明会の予約数は物足り
ないもののドタキャンも含めた説明会の欠席者が大幅に減り、出席者そのもの
は昨年並みに確保できているということである。逆転の発想ではないが、それ
もありか!と担当者と納得した次第である。

 翻って、学生はどうかと見てみると、私の見ている範囲では、例年とさほど
変わらないというのも実感で、総じて遅い。厳しい、厳しいという周囲の言葉
に立ち向かっていくのではなく、端から諦めムードが漂う。文量の多いESを手
にして立ち尽くす。最早、採用枠を日本人同士で奪い合う時代ではない。外国
人に採用枠を奪われるのを指をくわえて見ている場合かと思うのだが、奮い立
つ学生は少ない。

 戦う気もない学生が多数応募してきても、結局物足りず採用しないわけだか
ら、エントリーも母集団も少なくてもいいのではないかと、担当者と納得した
のであった。
 ムムム…それでいいのか。


             (2012/03/05 人材開発メールニュース第669号掲載)


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